メルボルンがあるVictoria州は月曜日がLabour dayで祝日。3連休だった。日曜日の夜に友人家族がシティで送別会を開いてくれるというので、贅沢してシティのホテルで一泊。日曜日の午後に家族4人自宅から電車でシティに向かった。メルボルンに住んでいるのに、わざわざシティのホテルに泊まるのは今回が3回目。3回ともSheraton Melbourne。最初に泊ったのは2020年の大晦日、その次が2021年の大晦日、そして今回。私たち家族にとっては思い出のホテル。
これが帰国前の最後のシティ観光になるだろうと感傷的に。日曜日はMelbourne Central駅で下車して州立図書館へ。私はつい3週間前に行ったけど、家族はまだだったので。日曜日ということもあり大勢の人がいた。観光客もたくさん。メルボルンってこんなににぎわっている街だったんだ、と改めて感じる。まだ国境を閉じていたころの静かなメルボルンの街のイメージが残っているから、少し混乱する。
子供と一緒にキッズセクションに。建物の外壁の外側に屋根をつけて作られているスペース。本があるだけでなく、子供用に食事をするスペースやおむつ替え、トイレなど、至れり尽くせりの場所だった。日本語の絵本も何十冊か置いてあり、そのうち1冊は次男がハマっている「なぜ?どうして?」シリーズ。読み始めたら止まらない。日本に帰ったらたくさん読めるから、と30分ほどで読書中断。リーティングルーム散策。
その後、無料トラムを乗り継いでホテルにチェックイン。過去2回は奮発して良い部屋にしていたけど、今回はスタンダードルーム。やっぱりホテルは景色が良い部屋とそうでない部屋で印象が変わる。でも十分楽しめたからいいや。子供と夫はジムに。私は部屋で休憩。夕方になって外出。送別会の場所はYarra川の反対側のSouthbankというエリア。友人が予約してくれた店は、私が行けなかった学科の忘年会の場所と一緒だった。メジャーなところらしい。
3家族13名で店の一番奥の席を牛耳る。子供たちはすぐに食べ終わってしまい、店の外で遊んでいた。シティよりも観光地感が強いので、子連れにはいやすい場所かもしれない。私は疲れていたのでセーブしながらビール1杯とカクテル1杯のみ。8時半ごろ、ホテルに戻るんだろうなと思っていたら、友人がカジノに行こうと言う。カジノには子供は入れないが付属しているゲームセンターならいける。あまりカジノには興味がないが、せっかく誘ってくれたからついていった。
子供の方に友人ともう一人のママ(オーストラリア人)がついてくれて、私と男性陣3人でカジノを観光。カジノの客は半分くらいが中国人。バカラ会場は9割以上中国人、ディーラーも中国系だった。プラスチックのチップをどんどん積み上げて、金銭感覚がおかしくなりそうな世界。ルイヴィトンのハンドバッグ率高し。私には全く興味が持てない世界。お金と時間が腐るほどある人の娯楽なんだろう。こういうオーストラリアの側面もあるんだなあと社会勉強。
その後、バーで1杯だけ飲んで退出。夜10時にSouthbankの通りから火が上がる。カジノのあぶく銭でやっているんだろうな、と思いながら。普段は9時過ぎにベッドに入るので、この時点で眠くて目が閉じそうだった。
クタクタになってホテルに戻り、シャワーで済ませれば良いのに風呂に入りたくて湯を張る。就寝したのは11時過ぎ。私にとっても子供にとっても限界の時間。
翌日、結局6時頃に目が覚めた。体がだるい。次男は眠そうにしていたので9時まで寝かせたが、長男がお腹空いたというので、2人で外出してシェラトンの隣のビルにあるカフェで朝食。メルボルンのおしゃれカフェではなく、古びた喫茶店のような雰囲気。Googleのレビューでは、オールドスクールなメルボルンのカフェ、かつてはこういうカフェがあふれていたが今はほとんどここしかない、オシャレで中身のない高額なカフェがはびこる中、このカフェは仕事をしているなど、ファンが多い模様。
確かにおしゃれではない。店も食事も昭和。それが落ち着く。中心的な客層は50代~60代といった感じ。古き良きメルボルンの時代?店員はきびきびと働いていた。ここもギリシャ系のお店だった。メルボルンに来てからギリシャに触れることが多い。私の中で好印象。ホテルで待っている夫と次男のためにサンドイッチとクロワッサンを持ち帰り。
11時にチェックアウトして街の東側を散策。
ずっと行きたかったSt. Patrick教会に。East Melbourneは静かで良い。この教会の色と形がカッコよくて、最後に間近で見られて大満足。
家族で写真を撮っていたら、日本人の女の子から「撮りましょうか」と声をかけられた。若い2人組。夫のアイフォンをさささーと操作して、色々なアングルと機能を使って何枚も写真を撮ってくれた。こんなにアイフォン使いこなしている人初めて見た。今の若者はみんなこうなのか、その子が特別なのか分からない。「旅行で来ているんですか?」と聞いてみたら、大学卒業旅行とのこと。「おめでとうございます」と言ったら嬉しそうにしていた。大学生活のうち3年間がコロナで大変だっただろうに、最後に卒業旅行で海外に来られて良かったね、これから社会人生活がんばってね、と勝手に感情移入(まだ口に出すほどおばさん化していないけど、あと一歩で言いそうだった)。メルボルン観光のおすすめを聞かれたので、州立図書館とHigher Ground(カフェ)をおすすめしてみた。メモします、と言ったので紙とペンでも取り出すのかと思ったら、アイフォンでささーと見つけて「ここですね」と確認し、すぐさま保存していた。スマホの扱いが早い。
その後、教会の横にあるFiztroy Gardensという公園に。この公園がとても良かった。何が良いのか具体的に説明できないが、ピンときた。メルボルンで行った公園の中で一番好き。自分にとってのパワースポットだと確信。
こんなに素敵な公園が街の周りに無数にあるメルボルン。多くの人がメルボルンを好きになる理由がわかるし、私も改めてメルボルンってこんなに素敵な場所なんだな、と確認できた。離れると分かっているからこそなのかもしれないが、もっとここにいたい、と強く思う今日この頃。帰りは駅までトラムに乗るために公園を縦断し、トラム乗り場まで来たら、私に仕事のオファーをしてくれた会社の建物がすぐ近くに見えた。ひょっとしたらあのビルで働いていて、毎日この公園に来られていたのかな、と思うと未練が残る。ドアは半分開いていたのに。
シティのCollins Streetでトラムを下りたら、前に大きな本屋さん(Dymocks)があった。長男が読みたいと言っていた本があったので買うことに。当たり前に英語の本を読むようになった長男。私よりも英語へのハードルは低くなっているようだ。同じシリーズの2冊のうちどちらを買うかで迷っていたので、もう帰国するからと2冊とも買ってあげた。内容的には高尚ではなく、ふざけた本のようだけど、普通に英語の文字が多い。友達から勧められたらしい。
帰りの電車の中では、どうやったらメルボルンに戻ってこられるのかを考えていた。まずは博士論文を仕上げること、日本でのお勤めを果たすことが必要。でもこれで私とメルボルンの縁を終わりにしたくないなあと。とりあえず、日本に帰国したら、仕事をしないかと声をかけてくれた人に進捗報告がてらメールをして、私の存在を覚えておいてもらおうかな、とか。
日本に帰国する判断をしたことについて、それを100%覆すほどの後悔はしてはいない。このままメルボルンに残ることになっていたら、私のキャリアをここまで作ってくれた日本の会社、そこでお世話になった人たちに後ろ足で砂をかけるような行為をしたと、誰も思わないかもしれないが自分自身が気になったまま、一生心残りになりそう。それも困る。家族4人で国をまたいだ移動をすることは簡単なことではないけど、また戻ってきたいと思っている。