昨日は副指導教官とのミーティングがあった。正指導教官が3か月半の有給休暇に入ってから、副指導教官と1対1でミーティングするのは2回目。前回の内容はこちら。
昨日のミーティングは実り多いものだった。前回の記事にも書いたが、私のこの2週間の主要なタスクは、Research designを組み立てること。研究初心者で右も左もわからない。OntologyとかEpistemologyとかPositivismとかConstructionismとか、これまで生きてきた中で一度も聞いたことがない単語にまみれながら過ごした。ロックダウンで大学に行けないので、誰とも情報交換することができない。だから図書館で借りてきたリサーチデザインやメソドロジーの本をひたすら読んで勉強した。まずは教科書的な本を3冊くらい読み通したら大体意味が分かってきて、著者による定義や分類の違いにも気が付くようになった(人によって言うことが違うなら、解釈に幅がある言葉/概念なので、自分の考えに合う方を採用して良いんだな、とか)。なんとなく全体がわかってからは、自分の研究により近い内容、もっと知りたい内容に絞って勉強できるようになった。
とにかく図書館の本からいろいろと教わりながら、Research designのドラフトをPPTのスライドで作った。前回のミーティングで先生からもらった質問を吟味して、PlanをAとBの2種類作った。前回の記事にもちらっと書いているけど、本を読むうちに、私のやろうとしている研究は、mixed methods of sequential explanatory designという名前がついていることが分かった。世の中にちゃんと認められている方法のようで良かった。それが分かってからは、Mixed methodsの本を何冊か読んだ。John W. Creswellさんという人が有名らしく、今はその人の本を教科書代わりにしている。どうやらミシガン大学にMixed methodsの拠点があるようで、面白そうなワークショップを見つけたが、満員のようで残念。
調べていたら、日本にも混合研究法学会なんて言うのがあるらしく、10月の年次大会ではCreswellさんも講演するらしいというのが分かった。このご時世なのでオンライン開催だが、非会員の参加費用は1万円。参加するかどうかは保留中。YoutubeにもCreswellさんの講義を含め、いろいろ教材となる動画が上がっている。便利な世の中になったものだ。
第6回日本混合研究法学会年次大会(JSMMR2020) - 日本混合研究法学会
でもこんな風にして自室にこもりながら本を読んだり、PCで検索したりして、自己流で知識を得ていると、自分がやっていることが果たして正しいのかどうか、不安になる。また、研究初心者のくせに、質的調査と量的調査の両方に手を出すなんてハードルが高すぎるのではないか、という不安も出てくる。ただ、考えようによっては、人生の中でみっちりと研究をやるような時間が今後あるかどうかわからないので、やれるときに両方の手法を幅広く経験することは良いことだと思うようにした。今後、何かの役に立つような気がする。
こういった状況だったので、副指導教官とのミーティングが待ち遠しかった。自分がやっていることが正統なアプローチなのか、大きな抜け漏れはないのか、PhDの研究プロジェクトとしてのレベルや期間は適切なのか、といった点をプロに確認してもらいたい。ミーティングでは、Research strategies and paradigms、Methodology、Data selection and collections, Data reduction and analysisのセットで、Plan AとPlan Bと2つのアプローチを説明した。大筋間違っていないようで、ほっとした。結果としては、Plan AとPlan Bと合体させるのが良い、という話に落ち着いた。今はその合体作業を進めている。合体させると、リサーチプロジェクト全体は、3つのステージで構成されることになる。手法はステージごとに、Content analysis(質的と量的:Inductive)、E-survey(量的:Deductive)、Semi-structured interview(質的:Abductive)になるのが今のアイデア。でもまだ生煮えなので、今後変わるかもしれない。
リサーチデザインを進めていて、ややこしいと思った単語のセットがある。QualitativeとQuantitative、ExplanatoryとExploratory。慣れもあるんだろうけど、自分が発言するときはまだしも、相手が言っているときに、今どっち言った?と混乱するときがある。言葉を作るとき、もう少し何とかならなかったのかなあ… 英語圏の人は、比較概念をわざと似たような単語で表現する癖があるというのを以前聞いたことがある。例えばShareholdersとStakeholdersなど。
Literature reviewをやっているときと違って、Research designは新しく学ぶことばかりで刺激になる。早く実際の調査に手を付けたい。2021年もコロナで自由な移動ができないことを前提に、研究手法もPrimary dataの入手はE-surveyやVideo interviewなどITツールを駆使、それだけでなく保険の意味も込めて、Secondary dataを使ったContent analysisもすることにしている。でも、個人的にSurveyはあまりやりたくないのと(自分が実務者として仕事していた時に、調査機関や大学から大量のアンケートが送られてくるのにうんざりしていたため)、Video interviewを見ず知らずの人に対して英語でやるのは今から気が重いけど… まあ、その心配をする前にまず調査に協力してもらえる人を見つけるというハードルがある。でも計画通りに進めば、1年後の今頃にはContent analysisとSurveyが終わっていて、Interviewの途中くらいのはず。不安はあるけど楽しみでもある。