40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。

指導教官とのミーティング、調査対象の絞り込み

今週月曜日に2021年になって初めての指導教官とのミーティング(いつも通りZoomで)があった。指導教官はまだメルボルンに帰ってこられていない。12月の上旬に早めに実家があるシドニーに戻り、クリスマスを家族と一緒に過ごせたのは良いが、クリスマス前にシドニーでコロナのクラスターが発生したせいで、州境が閉じてしまい足止めを食らっている。今はNSW州の田舎にあるシスター(姉もしくは妹)の家に滞在して仕事をしているとのこと。州境を超える免除申請はしたけど、何千人も待っているからどうせ無理だろう、と開き直っている(こういう気長なところはオーストラリアっぽい)。どこにいてもパソコンとネットがあれば結局やることは一緒なので特に問題なさそうだ。

 

私は2020年のロックダウン中に生じた後れを取り戻そうとぼちぼちと年末年始も作業を進めていて、ようやく2年目に必要な実査に入る目途がついてきた。前回のミーティングは約1か月前だったが、その間にリサーチデザインの章の更新、理論フレームワークの章のファーストドラフト作成、500社のデータレビューとセレクション、1年目の審査レポートの章立てなどを行っていた。今週のミーティングの直前には、リサーチデザインと理論フレームワークの方は概ね落ち着いてきて、データセレクションについて頭を悩ませていた。

 

500社のデータをレビューして、該当要件に合う企業をピックアップしたら、思ったよりも多くて269社もあった。ここから調査対象を10社程度に絞り込んでいくためのロジックをどうしようか、というのが今回の相談内容。私の案としては、①クライテリアをもう少し厳しくして全体を絞り込む ②国を限定する ③業種を限定する ④クライテリアの要素を限定する というもの。指導教官に相談したら②か③が良いのでは、ということ。どの選択をとっても、それなりにロジックの組み立てや正当化は必要になる。数日間②と③の間で揺れていたのは、以下の理由。

 

国を限定する場合…

500社の本社所在地を見ていったとき、もともと設定したクライテリアを数の面でも比率の面でも優等的にクリアしているのが何と日本という結果に。私には、あらかじめ日本を調査対象にするつもりはなかった。それは、せっかく英語圏であるオーストラリアに来たのだから、日本以外の国を調査対象にしたい、という野心と、日本企業は自分が15年くらい働いてきてなんとなく分かっている部分が多く、自分にとっては研究対象として新鮮味がない気がしていた。しかし、今回客観的に国別に分析してみたところ、結果的に日本が浮かび上がってきてしまった。指導教官的には調査のやりやすさから、私が出身国である日本を選ぶことをむしろ歓迎しているようだった(過去に教えていた学生も自国を対象としている人が多い)。

 

ミーティング中、指導教官には正直に、安直に日本を対象にしたくないことを伝えたら、じゃあ、オーストラリアも一緒にやってみる?という提案があった。比較調査を目的としているわけではないけど、他の地域も一緒に調べてみることは面白いかもしれない。オーストラリアもデータ上は悪くないポジションにいる(数は少ないが比率は高い)。でもここでまた、日本とオーストラリアを選ぶのも安易だな、と思ってしまい、もう1か国データ上良さそうなイギリスを提案してみた。実際、理論フレームワークで参考にしている論文は、イギリスと日本の企業を選んでいる。その上、指導教官の共同研究者にイギリスの大学の先生がいて、その人の協力も仰げるかもしれない、とのこと。国の切り口で絞り込んだ場合、データコレクションの利便性が高そうなことが分かった。

 

業種を限定する場合…

国ではなく業種で切っていくと、今度は自分が長らく勤めていた会社が属する業種が上の方に上がってきた。そのデータを見て、業種で切ってみるのも面白いかもしれない、と悩んだ。あくまで自分の経験だが、グローバルに事業展開している企業としては、自国の別業種の企業が何をしているのかはあまり気にしていなくて、競合である他国の同業企業の動向の方が気になる。調査に協力してもらう企業の立場からすると、調査レポートのサマリーを通じて業種全体の情報を知ることができるというのが、調査協力へのインセンティブになるのでは、という気がした。

 

そうすると、研究者側としては、調査対象である企業に対して参考になる情報を提供できる可能性が高いということと、下心としてはそれをインセンティブとして調査への協力依頼がしやすくなるという考えもある。また、この博士課程を終えて再び企業で働くことになった時に、その業種のことをより深く知っていることは自分のキャリアにもプラスになる。一方、先生からは業種を限定するときはかなりのJustificationが必要になること、その業種に特有の背景を丁寧に織り込まないといけなくなることなどの指摘があった。また、先生のコネは使えないし、日本でもオーストラリアでもない国の企業に自分でCold callしなくてはいけない。どれくらいの企業が調査に参加してくれるか、全くの未知数。

 

月曜日のミーティング時にこんなことを話しながら、引き続き悩んでいたが、水曜日までに審査用のレポートのドラフトを提出することにしていたので、水曜日の朝までには結論を出す必要があった(とはいっても、後からまた変えることはできるけど)。色々と悩んだ結果、国を限定するアプローチをとることにした。関連分野の論文を改めていくつか読んでみたが、こちらの方がオーソドックスなやり方ではある。結局、どちらを選んだとしても、研究は限定的にならざるを得ない。

 

だんだん自分の調査プロジェクトが具体性を帯びてくるのは楽しい。水曜日に審査レポートのドラフトを提出した後は、Ethicsの申請フォームをひたすら最新情報に照らし合わせて更新。Ethicsに添付するインタビューの質問項目のリストアップ、Explanatory statement、Recruitment email、Consent formなどを作成していた。こういう実務的な作業は仕事の時にやっていたことの延長線上にあるので比較的楽に進められる。一つ一つは小さな作業なので、終わるごとにちょっとした達成感があって良い。これらの書類もすべて今日、指導教官に送って来週中に確認してもらうことにした。

 

そうこうするうちに、水曜日に提出したドラフトのレビュー結果が早速戻ってきた。指導教官はいつも反応が早くて本当にありがたい。ドラフトは全体的には良かったみたいでほっとした。細かい点でいくつか指摘が入っているので、それは来週修正する予定。12月と1月で少しずつロックダウン中の遅れを取り戻してきている実感がある。この時間を作り出すために、15万円もかけて子供たちを学童保育に預けているため、少しずつでも毎日ちゃんと進めないと、と思ってやっている。

 

気づいたら今週は一度も大学に行かないで家で作業していた(火曜日はお休みしたが)。長期のロックダウンがあったせいで、テレワークが定着しすぎている。博士課程を始めてもうすぐ1年経つのに、指導教官とは実は対面では数回しか会っていないという現実。今度会うときにはなんか緊張しそう。。

 

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昨日は実家から荷物が届いた。子供たち用の雑誌やすごろくなどがメインだけど、私がリクエストしたお弁当用の具材もたくさん入っていてうれしかった!これだけあれば2~3か月は持つかなあ…