40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。2023年3月帰国、11月に博士号取得。現在は東京にある外資系企業で勤務。

副指導教官とのミーティング、リサーチクエスチョンの改訂

先週から正指導教官が3か月半のLong service leaveに入ってしまったので、隔週の定例ミーティングは副指導教官と1対1で行うことになった。その第1回目が今週月曜日にあった(Long service leaveについては前々回の記事に)。

 

fourty.hatenablog.com

 

今の研究の状況は、Literature reviewを一通り書いて、それを指導教官のアドバイスのもとに2回ほど書き換え、さらにもっとこうした方が良い、というアドバイスをもらいつつも、どうせ今後もどんどん変わるので、今はいったんこのままにしておきましょう、となった。コロナのせいで研究時間が削られているが、一応体裁上は当初の計画から大きなずれはなく進められている。次にやることとは、リサーチクエスチョンの改訂とリサーチデザイン(メソドロジー含む)。

 

先々週くらいからリサーチデザインの本を読み始めて、まずはそこに書かれているようにオーソドックスに手順を踏んでみることにした。絶対にこうでなければならない、というルールはないようだが、前々回の記事でも紹介したお気に入りの本に従うと以下を明らかにしていくことになる。私の目標としては9月末までにこれらを書き物の形で完成させること。この内容とLiterature reviewを合わせて、1年目のConfirmationが行われる(予定は来年2月)。

  • Research topic
  • Research problem
  • Motives and goals
  • Research questions and purposes
  • Research strategies
  • Research paradigms
  • Concepts, theories, hypotheses and models
  • Data, types, forms and sources
  • Selection of data sources
  • Data collection and timing
  • Data reduction and analysis
  • Problems and limitations

 

とりあえず、今週のミーテイングでは、Research topicからResearch questions and purposesまでの案を作って、副指導教官にぶつけてみた。結果的には「良いんじゃない」ということ。一応、上記の項目は流れで進めていくものらしいが、実際には項目の間を行ったり来たりしながらアイデアを練っていくのだろうと思う。実際、Research questionsをリファインするまでのアイデアに、Research strategiesやResearch paradigmsについて勉強して適切なものを考えたり、現実的なData collectionやTiming、分析の方法にまで考えを巡らせないと、Research questionsはまとまらないようにも思う。

 

Research questionsについては、博士課程に入学申請する際に作成したResearch proposalに3つ掲げている。今回すべて変更した。何が違ったのか。入学申請する際に提出したResearch proposalには、自分の知りたいことをResearch questionsとして書いていた。これはどうなっているのか?なぜなのか?といった、自分が実務経験を通じて感じた疑問がそのまま書かれている。この疑問は研究を始めるためのスタートポイントになっているが、このままでは研究ができないような気がした。Literature reviewを行う中で、もともと掲げた疑問の前にまだ解き明かすべきことがあること、3年間という限られた期間の中ではフォーカスを絞る必要があること、現実的にアカデミックな手法を通じてできることが限られていること、などの点を踏まえて改訂した。今はCentral questionの他に4つの質問がある。これをStudy 1とStudy 2に分けて2段階で進めていくことを考えている。

 

先週はStudy 1のトライアルとして、分析サンプル数として考えている500社中、40社分の情報を簡易的に分析してみた。これならいけそうだ、とか、そもそもこの情報収集と分析に意味はあるのか、変なAssumptionを入れてしまっていないか、など自分に問い直すためのエクササイズにもなったし、実際に同様の分析をする場合、どれくらいの時間が必要になりそうかのイメージを持つこともできた。また、こういった作業を行うということは、Research paradigms的には何になるのか、と逆に当てはめることもできる(こういうアプローチが正しいのかどうかは不明)。

 

手法は今のところ、Study 1はInductiveな量的調査で全体像(各要素間の相関関係も含む)の可視化、Study 2はStudy 1で得た情報を基にケースを絞り、Abductiveな質的調査を通じて相関関係ではなく因果的なことまで踏み込むこと考えている。ただ副指導教官とのミーティングの中でもらった質問から、別のアプローチもありうるということが分かったので、Plan Bも並行して考えている。それも2つのStudyからなるが、Research questionsの順番を入れ替える。そうすると、Study 1がDeductiveな量的調査になり、Study 2がAbductiveな質的調査になる。私の好みはPlan Aだが、なぜそれが良いと思うのか、それぞれの長所と短所を並べてみて選ぶのが良いと考えている。

 

Plan AもPlan Bも量的調査を含み、統計手法を活用することになる。統計処理は大の苦手。私と統計との付き合いは細切れで長い。10代の頃大学の授業の必修科目に統計学があったこと、20代前半で卒論の時に実験結果に対して行ったこと、20代後半になって社会人として2社目のコンサル会社でアンケート調査の分析時に行ったこと。30代になり、現在休職中の会社で技術系社員に必修の品質管理手法の研修時に行ったこと。全部苦い経験だが、特に最後のケースでは、会社の講堂で大学生のように1週間みっちりと統計の授業を受けて、テストの回答が終わるまで帰れないというのは、トラウマレベルの経験となった*1もう生きているうちに二度と統計には関わりたくないと思っていたのに、40代になってまたやることになるとは…嫌だけど、自分が知りたいことのためなので頑張るしかない。

 

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図書館で借りてきた本を読んで勉強している。PhDの学生は何冊でもいつまででも図書館の本を借りられる特権を持っている

 

 

 

*1:研修はStatistical Quality Control:SQCと言われているもの。教科書持ち込みなのに全然できなくて愕然とした。わからなさすぎて泣きたい気分だった。周りの社員たちには大学受験を頑張った人たちが多く、改めて大企業にいる人たちは優秀なんだな、とも思った。それと仕事ができるかどうかは別の話だったりもするけど…