40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。2023年3月帰国、フルタイムで働きながら博論執筆中。

研究プロジェクト参加者のリクルーティング

久しぶりに研究関連のことを記録。1年目の審査が終わってから今までの2週間ほどは、主に研究参加者を募集する作業をしていた。1月に倫理審査がおりて、3月初に無事研究内容にOKが出たので、晴れて研究の実務に着手できるようになった。

 

私の研究対象は、日本、オーストラリア、イギリスに本社を置く大企業。そのうち、研究テーマの要件を満たした会社を絞り込んだ結果、69社が調査の対象となった。この69社の中から、6~10社程度をリクルーティングし、各社の中で働く複数人(理想的には3名以上)にインタビューを行うというのがデータコレクションの中心となる。調査対象は、一番規模が小さい会社でも年間の収益が3兆円弱と超が付くほどの大企業ばかり。

 

69社のうち、日本企業の2社とオーストラリア企業の3社はコネを使ってコンタクトしたが、残りはいわゆるCold callで、すべての会社のホームページや発行しているレポートを地道にチェックして、開示されているメールアドレスやお客様相談室などの問い合わせ先に1社1社連絡し担当部署につないでもらう、という方式を取った。

 

実は日本企業の多くは、以前名刺交換したことがある企業だったし、実際に会食して仲良くなったり、情報交換会をしたり、研究会で何回も顔合わせしたりして親しくしていた人たちも何人かいた(私の分野では横のつながりを作るのが活発なので、他社にも多くの知り合いがいる)。でも会社を休職するときに勢いですべての名刺を溶解処分してしまったので、今は全く連絡先が分からない。これにはさすがにちょっと後悔したものの、会社員の立場で得た連絡先を学生として使うのはグレーな気もするので諦めもついた(でも個人的に親しくしていた数人くらいには打診できたと思うが…未練)。

 

名刺を全部捨てた話(懐かしい…)

fourty.hatenablog.com

 

幸いなことに、この2週間で6社から調査参加への同意を得ることができた(最低ラインのクリア)。6社のうち5社は日本、1社はオーストラリアの企業。イギリスはコネがないので苦戦している。

 

参加承諾してくれた日本企業のうち、1社はもともと自分が働いていた企業。1年目の審査会が終わった日に元上司に連絡をして、近況報告とともに調査に協力してもらえないかを聞いたところ、すぐに「できることなら喜んで協力します」と言ってもらえて感激した。続いてアメリカ法人で働いている元同僚にも聞いてみたら「あなたのためならもちろん協力するよ!」という返事をもらえて嬉しかった。この他、こんな部署の人にインタビューをしてみたい、ということを元上司に相談したら、部署の責任者の連絡先を教えてくれた。たまたま以前別のプロジェクトで一緒に働いたことがある人達なので頼みやすい。3月は超多忙なので連絡は4月になってからの方が良いと思います、というアドバイスまでもらった。

 

日本企業のもう1社は、博士課程を始めてから知り、コネなしで入会した日本の学会の研究部会を取りまとめている先生に相談してつないでもらった(研究部会でその企業の方が事例報告していたので)。つないでもらった会社の人からも研究参加について無事OKをもらえてほっとした。ありがたい。残りの日本企業3社は全くコネなしでのコンタクト。3社とも日本人なら誰もが知っているような有名企業。Website上の問い合わせフォームからのコンタクトなので可能性が薄いと思っていたが、研究内容に興味を持ってくれた人たちがいた。ゼロベースで調査参加者を得られたことに、個人的なコネクションで得た嬉しさとはまた別の嬉しさがあった。そのうち1社とは来週事前打ち合わせをすることになり、別の1社にはインタビュー第1弾をすることになった。

 

以前なら、電話してアポを取り、会社に挨拶に行って、名刺交換をして…という手順を踏むけど、コロナのせいで大企業の管理部門はほとんどがリモートワークをしている。オンラインでの会議が当たり前になっているので、海外からZoomやWebExでインタビューを受けることのハードルが下がっているのかもしれない。直接会って話をできたらベストなのだけど、コロナ2年目でオンライン会議が定着した時にインタビューを敢行できるのはタイミング的に悪くないかもな、と思った。これがコロナ1年目なら皆混乱していて、ゼロベースでの依頼を受けてくれる会社はほとんどいなかったのではないか(それどころじゃない!という感じで)。ただ、メールや問い合わせフォームを公開していない企業は電話をかけるしかなく、リモートワークなのに代表電話にかけてもなかなかつながらなさそうなので、電話番号(しかも代表電話)しか公開していない企業にはまだアプローチをかけていない。

 

オーストラリアの企業は、指導教官の先生が以前コンタクトをしたことがある人にメールをしてくれた。オーストラリアには大きな企業が少なく、69社中5社のみ。スーパーのColesとWoolworths、銀行のCommonwealthとWestpac、そして鉱山大手のBHP。BHP以外は自分が日々お世話になっている会社でもある(というか顧客である)。銀行の1社からは最初、忙しいので協力するのは難しい、と断られてしまったけど、先生が「今年の後半、落ち着いたときでも良いので検討してみてください」と一押ししてくれたらOKになった。ありがたい。でもオーストラリアであと1社はOKが欲しいところ。できればスーパーのどちらかがOKをくれないかな…。

 

イギリスは20社弱にコンタクトして、1社(大手スーパー)からはお断りの返事(それでも丁寧な返事をもらえたので、その時間を割いてくれたこと自体にありがたいと思った)。もう1社、消費財大手の会社からは担当部署に問い合わせしているので待ってくださいね、という返事。ここは私の分野では世界的に模範とされる企業なので、受けてもらえることになったら本当に嬉しい。残りは音沙汰無しなのでフォローする予定。でもハードルが高そうなので、どうしたら良いか戦略を考えてみよう。

 

自分も会社員として働いていた時、研究に関する協力依頼(多くはアンケート)を数えきれないくらい受け取った。以前は回答していたが、工数が足りなくなったことから、大きなメリットや個人的なコネがないところからの依頼は断るようになった。このため、研究目的の調査依頼が断られること自体は当然だとも思っている。だからこそ、わざわざ受けてくれる企業のことは大事にしたいし、意味のあるフィードバックをしたいと改めて思った。かつての自分と同じ立場の人達が主な調査協力者になるので、その人たちにとってどんな情報がメリットがあるのかなんとなくわかる。これは自分の経験からくる強みだと思っている。

 

インタビューの計画が具体的に進むことになって、今更ながらテープ起こしや翻訳を外注するのか、機械に頼るのか、自分でやるのか、どうしようかを悩み始めた。色々と調べてみたら、すべて外注すると100万円を超えそうなので現実的ではない。ちょうど学科経由で地理学を対象とした助成金(5,000ドル上限)の募集があったので、ダメ元で応募してみようかと考えている。研究内容はハッキリ言って地理学ではないが、対象が学内のGeographyとHuman Geography(マイナーな学科)の学生だけのようなのでライバルが少なそう。ちょうど来週の月曜日に指導教官の先生との定期ミーティングがあるので相談してみるつもり。

 

3月は異常なほど小学校の行事や子供関連のプライベートの予定が立て込んでいて(次の記事にまとめて書くつもり)、研究はこんな感じのペース。あと最近は大学によく行くようになり、PhD仲間が少しずつ増えてきて嬉しい。それによって英語を話す時間が増えて、前よりもスムーズに話せるようになってきた気もする。やっと留学生活らしくなってきた。

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キャンパス内にある日本のお菓子を取り扱っているコンビニが半年ぶりに再開したので、研究のお供に購入。美味しいから食べすぎに注意。今気が付いたけど、おーいお茶にAustralian Green Teaって書いてある。こちらで現地生産しているのかな?

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大学のパブで初めてランチしてみた。ボリュームのあるチーズバーガーとポテトで10ドル(800円)は街中の店より安い。今度は夕方によってビールを飲んでみたい