40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。2023年3月帰国、フルタイムで働きながら博論執筆中。

メルボルンで引っ越し<入居後編>

引っ越し3部作の最後は入居後編とする。これまでの経緯は以下の記事に。このブログはお役立ち情報を発信しているのではなく、あくまで個人的な生活の記録なので、引っ越しについても私が経験したことをそのまま書いている。一方、いわゆるノウハウではないが、これからオーストラリアに来て生活する人の参考になればと思う気持ちも少しある。

 

fourty.hatenablog.com

 

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入居後は大きなトラブルなく生活しているが、日本とは違うこともある。これも一つの経験なので、忘れないうちに記録しておく。

 

入居後すぐに家中をチェックして記録

入居時(正確には鍵の引き渡し時)に、家の状態を記したコンディションレポートというものが不動産屋(もしくは大家さん)から送られてくる。退去時に敷金を清算する際、どの部分が入居者によるダメージで、どの部分がもともとあったもの(汚れなど)なのかを記録に残しておくためのものである。前回の賃貸時は、間に不動産会社が入らず、大家さんとの直接契約だったため、大家さんが家じゅうの写真を撮ってそれを自宅のインクジェットプリンタ(あまり性能は良くない)でプリントアウトしたものをファイルし、双方サインをして1通ずつ保管した。

 

今回は大手不動産会社が間に入っているので、すべてがオンライン化されており、とてもやりやすかった。まず不動産会社が各部屋の写真を撮って専用のWebsiteにコメント付きでUploadしたものをこちらでチェックして、違う点があれば入居者側のコメント/写真を添付することができる。不動産会社はざっとしか見ないので、こちらで細かくチェックをした。例えば、網戸に穴が開いていたり、シャワーの扉の一部が欠けているなど、住むには特に問題ない点をいくつか指摘した。写真はアップロードとともに日付と時間がシステムに登録される仕組みで、後付けできないようになっている。

 

オーストラリアはこういうシステム化があらゆる場面で日本よりも進んでおり、合理的で感心する。一方、ヒューマンエラーは多くて、今回も鍵を3本もらっているのに2本と書かれていたりと、修正することは多い。人間が絡むところは注意が必要。

 

設備のマイナーな不具合を発見

私たちは鍵の引き渡しの1週間後くらいに入居したので、上記のコンディションレポートは入居前に返信した(3営業日中に返さなければならなかったため)。一方、実際に電気やガスが通じた後や、住んでみて発見した不具合もいくつかあった。見つけ次第、不動産会社の担当者に連絡して対応をお願いした。

 

入居する直前に2点の不具合を発見。1つ目はトイレを流すと、タンクから水が少し漏れるという点(幸いきれいな水)。2つ目はダイニングルームにある照明の1つが点灯しないという点。両方不動産会社に連絡したら、大家さんがすぐに出向いて修理するとの連絡あり。この時はまだ住んでいなかったので大家さんに会えなかったが、翌日家に行ってみたら両方直されていて感心した(オーストラリアでこんなに迅速に進むこともあるんだという意味で)。

 

そして実際に住んでみて、さらに2点の不具合を発見。1つ目はシャワーヘッドの向きが固定されずに常に下を向いてしまうこと。2つ目はガスオーブンが点火しないこと(ガスコンロとグリルは使える状態)。シャワーヘッドはずっと下向きのまま、ちょっと中腰になって使えば問題はないが、直してほしいし、ガスオーブンは週に1~2回使うので修理してほしいと伝えた。この対応はしばらく時間がかかった。不動産会社の担当者は大家さんに連絡しているらしいが、大家さんがなかなか来てくれない。先週の土曜日に来ると言われていたけど、来た形跡もなく修理もされていなかった。

 

まあすぐに困ることではないからもう少し気長に待つか、と思っていたら、一昨日の夕食後に突然ドアがノックされて、大家さんがやってきた。私たち夫婦と年齢は同じくらいか少し上かな、という男の人。とっても気さくな人だった。こちらからお願いしなくても玄関で靴を脱いでくれた。「オーブンがうまく作動しなかったら設備ごと取り替えるよ」と言ってくれたけど、色々と試してくれたら、私たちが(大家さんも)気が付かないところに点火用のレバーがあったようで、それを引っ張ったらちゃんとガスの火が付いた。良かった。

 

シャワーヘッドの方は、位置を固定するためのパッキンが古くてダメになっているから、シャワーヘッドごと交換するとのこと。「明日の朝いちにBunningsに行って、その後交換に来るから」という答え。その後、大家さんと少し話をしたら、子供は3人いて、上の2人は20歳と18歳だけど、下の子は小6とのこと。その下の子が通っている小学校は、土曜日に日本語の補習校として使わせてもらっている学校なので、そのことを告げたら土曜校のことも知っていた。さらに小6の息子さんは、外国語で日本語を習っているということも聞いて、なんだか親近感がわいた。シャワーヘッドの交換は、あまり期待せずにいたら、翌日の午前中に大家さんのお父さんが来て、小一時間かけて交換してくれた。トラブル続きだったので、スムーズにいくと感激する。

 

お隣に住む大家さんのお父さん

シャワーヘッドを直してくれた大家さんのお父さんは、歯が抜けていて髭と髪の毛が真っ白の仙人みたいな風貌のおじいさんで、隣に住んでいる。もともと入居した日に、私たちが住む家のGreen waste(剪定した庭木や食品残差など)のごみ箱をその人が出しているのを見て、すかさず挨拶し、大家さんのお父さんであることを知った。入居者がいない間、この家の庭の手入れをしていたようだ。

 

このおじいさんがとても良い人で、いくつかの嬉しい誤算があった。入居から数日後、夫が裏庭の掃除をしていたら、どこかから声をかけられた。周りを見ると、家の裏の倉庫の上におじいさんが立っていて、うちの裏庭のさらに裏にある敷地で、洋ナシの収穫作業をしていた。「洋ナシいるか?」と聞かれたので、夫が「Yes!」と答えたら、バケツ一杯に洋ナシをくれて、「もっといるか?」と聞かれて、また「Yes!」と答えたら、バケツを返して、と言われそのバケツにまた山盛りの洋ナシを入れてくれた。家に帰ってきてびっくり。100個近い?洋ナシを手に入れてしまった。

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置き場所に困るくらいの大量の洋ナシ

ちょうどその次の日に子供のサッカー教室があったので、10個から20個ずつ袋に入れて、日本人ママたちに配ったら喜ばれた。それでも家に50個くらい残っていて、毎日洋ナシを食べている。こちらは小学校に毎日フルーツを持っていくので、フルーツはたくさんあっても困らない。その数日後、今度はイチジクをもらってしまった。おじいさんの家の敷地は果樹園のようになっているらしい。その続きなのか、私たちが住む家にもアプリコットとネクタリンの木が植えられている。

 

もう一つの嬉しい誤算は、おじいさんがうちの家の前庭と裏庭の芝刈りをしてくれたこと。先週末に作業服のおじいさんが来て、「芝刈りするか?」と聞かれたので「良いんですか?」と聞いたら、「いいよ」という感じで、ぱっぱと手際よくやってくれた。その時に少し話をしたら、このおじいさんもギリシャからの移民だった。なんとなくそんな気がしたので、聞いてみたら正解だった。私たちはメルボルンに来て、2回連続でギリシャの人から家を借りたことになる。前の大家さんとの共通点は他にもあって、家のメンテナンス(例えばシャワーヘッドの交換や庭木の手入れ)などをフットワーク軽くやってしまう。おそらく仕事としてそういう設備系もしくは庭木の手入れなどをやってきた人のようだ(隣の家には脚立や作業用のバンが停まっている)。

 

ギリシャ人の移民一代目は働き者の人が多いんだな、と思った。私たちに親切にしてくれるのは、自分ももともと移民として来て苦労したからかもしれない。「この辺りはギリシャ人が多いですか?」と聞いてみたら、前の大家さんと同じく「Too many!」という答えだった。何か困ったことがあれば言ってね、と言ってくれた。親切な大家さんに2回連続当たって、私たちは幸運だと思った。

 

オーストラリアの賃貸については、ネット上でトラブルの話をよく見るけど、そんなことばかりではないというのも事実。ギリシャには行ったことがないけど、メルボルンに来て、ギリシャに良いイメージを持つようになった。