40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。

指導教官とのミーティング、喝を入れてもらう

今週月曜日は隔週定例の指導教官とのミーティング。この1~2週間、研究の進捗としては先行研究のレビューが一通り終わりそうというタイミングであり、私生活ではコロナ第2波によるロックダウン、子供の自宅学習の再開で、なんとなく気分が全体的に落ち込んでいた。何をするにもやる気が起きない状態。そんな中、気持ちを振り絞ってミーティングに出たところ、いい感じで正指導教官から喝を入れてもらった。

 

喝を入れると言っても、そんなに厳しいものではなく、お尻を叩かれた感じ。今は先行研究のレビューを一通りドラフトして、これからそれをコンパクトに整理しながらResearch questionsをリファインしていくということはわかっているが、自分の中でもっと具体的で直近な次のステップがイメージできていなかった。

 

振り返ると、2月にこの生活が始まってから、研究経験がほとんどない自分はとにかくたくさんの関連文献を読んで、文章に整理していく作業を5か月くらいかけてやっていた。とりあえず2万ワードくらいの分量のドラフトができ、参考文献は190を超えた(使っていない文献もあるので読んだ数は200を超えているはず)。今度はそれをどんどん削っていく。広げた風呂敷を意味のある形に折りたたんでいく作業。目安は1万ワードから1万5千ワード。分量としては75%~50%になる。ちなみに、先行研究レビュー(Literature review)は、博士論文の中で最も書き直し回数が多いパートで、これから先、何度も書き直しすることになるから、と指導教官。社会学系は先行研究をどのような視点で整理するか、というところにすでに自分のオリジナルな視点が入ってくるためだろう。別の教授は、Literature reviewが博論の中で簡単なようで実は一番難しいパートと言っていた。

 

いつもなら、ミーティング中に自分から「いついつまでにこれを提出しますので、その後、フィードバックをお願いします」と話をするのだけど、今の状況で自分はどうしたら良いのかわからず、気分も落ち込んで前向きに考えられない状態だった。「次のミーティングまでに何をすべきかをクリアにしたいのですが、クリアなアイデアがありません」と正直に伝えた。そうしたら、正指導教官から「あなたが次にすべきことは、このドラフトをもう一度最初から見直して、自分のリサーチテーマに今一度立ち戻り、分かっていること、分かっていないこと、ギャップは何かを一つのストーリーで伝えられるようにすること」と言われた。私が「それでは2週間後にそれを提出します」と言ったところ、正指導教官は「2週間後のミーティングでレビューできるよう、1週間後の月曜もしくは来週の水曜日までに提出して」と言ってきた。その言葉でなんだか目が覚めた。

 

こんな会話をしていたら、一緒にZoomに参加していた副指導教官が「〇〇(私の名前)は、ロックダウンで学校が閉鎖になって子供が自宅学習中だよね。どれくらい負担になっているの?」と聞いてくれた。これも嘘ついてもしょうがないので「正直、子供の勉強のサポートに半日使っていてて、フルタイムで作業できていない状態です」と伝えた。コロナ第2波によるロックダウンでHDR学生がどのような状況になっているのか、今週各指導教官は大学に報告する義務があるらしい。それもあって、副指導教官は聞いてくれたようだが、正指導教官は「え、でもPhDは自動的に6か月延長できることになったから大丈夫でしょ(つまり特別に報告する必要はないケース)」というコメント。そこで、副指導教官と正指導教官でちょっとした議論に。

 

副指導教官は「コロナはすべての人に何らかの影響を及ぼしているけど、それがどんな影響でどの程度のものなのかは、人によって全く異なる。〇〇(私の名前)の場合は、子供の学習サポートが大きな負担になっているということを指導教官として認識しておくことは重要だと思う」と言い張っていた。副指導教官にも私と同じように小学校に通う子供が2人いる。子供の自宅学習と仕事の両立がどれほどキツイものなのか、毎日泣きたくなる日々、終わりが見えない苦痛があることを身をもって知っているのだろう*1。副指導教官から流れで「ところであなたのところはSonかDaughterかどっちだっけ?」と聞かれたので、「Sons」と答えたら、「Sons!複数形!!Hahaha」という反応もあって面白かった。そうなんだよね、子供が単数が複数かで、負担も全然違う(ついでに子供の年齢や性別の違いによっても全然違う)。結局、指導教官はどのように私の状況を大学に報告するのかは分からない。

 

私にとって良かったのは、正指導教官は私に子供がいるかどうか、そのせいで苦労しているかどうかなどあまり興味がなく、研究の進捗に対して冷静にコメントをくれる(かといって別に無理を言われたりはしない)。一方、自分が置かれている状況をもう一人の指導教官が理解してくれている、というのは、それはそれで精神的に救われる部分が大きい。どちらも私にとってありがたい存在。正指導教官と副指導教官、という立場の違いというよりも、それぞれの個性によるものだと思う。私はどちらかというと副指導教官のタイプなので、違うタイプの正指導教官の方が仕事上の関係としては合っていると思う。個人的な事情は(少なくとも表立っては)気にとめず、その人の人材としての成長や仕事の成果に注目するところは、会社で長く一緒に働いてきた上司と似ている。

 

その上司は、私が次男の育休明け2か月後に、海外出張を打診してきた人。当時次男は1歳3か月くらいで、まだ夜間は授乳している状態だったため迷ったけど、夫も後押ししてくれたのでアメリカに出張した。周りも結構びっくりしていて、その出張のせいで次男は強制的に卒乳となってしまったけど、その出張のおかげでグローバルプロジェクトを任せてもらえることになり、そこでやったことが今の研究テーマにもつながっている。今回、指導教官から、2週間ではなく1週間で出せ、と言われて、そのことを思い出した。

 

無理のし過ぎは禁物だけど、自分は何もないとモチベーションが下がってどんどん悪い方に行ってしまうタイプのようなので、定期的に指導教官とミーティングして、進捗を確かめてもらうのは自分にとって良い方法。特に今のコロナの時期、大学関係者と偶然会って話をすることもなく、自分はちゃんと前に進めているのか、これで良いのかどうかがわからなくなってしまう。これから先、特に目立った進捗がなくても定期的なミーティングは続けた方が自分の精神衛生上良いということが分かった。また、先週から始めた週に2~3日の大学図書館通いも良い気分転換になっている。

 

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昨日は午後の紅茶を入手。お菓子は家族へのお土産。メルボルンにある大学内のコンビニでこんなに色々買えるとは… ここは日本か?と一瞬錯覚してしまう。



 

*1:最近見つけた記事でもWorking parentsがロックダウンで直面する精神的なプレッシャーについて生の声が掲載されていた。言語のハードルがないオーストラリアの一般家庭でもこれなんだから、言語のハードルが高い我が家は相当厳しい。https://lens.monash.edu/@coronavirus-articles/2020/07/13/1380825/lessons-from-lockdown-one-working-parents-need-understanding-and-support