40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。

学会へのペーパー提出、初めての出版、Proceedings掲載からの問い合わせ等

先週~今週にかけて、本業である博士課程学生としての動きが色々とあった。まとめて一つの記事にする。

 

ANZ学会へのペーパー提出

12月にGold Coastで開催される学会発表に申し込みするために、オーストラリア企業10社へのインタビュー結果の分析を12枚にまとめ上げ、先週の金曜日に提出。もととなるドラフトは1万ワード以上あったのでかなり圧縮することになった。でもこのプロセスを経たおかげで、否が応でも要点をクリアにせざるを得なかったのは良かった。日本企業の分析の際も最初1万ワード以上の結果を研究部会での発表資料としてコンパクトにまとめる過程で、理論的な軸が明確になった。

 

学会は私の博士課程のFinal review(3年目の審査でこの日から3か月以内に博論提出する必要あり)の日にちと被っている。もしこの学会で発表する機会を得たら、おそらくGold CoastのホテルからZoomでFinal reviewのプレゼンを行うことになるだろう。1年目、2年目、3年目とすべてのマイルストンがZoomを使った審査となる。私としてはもはや博士課程=Zoomの日々なので、こちらの方がやりやすい。

 

初めての出版

昨年のロックダウン中に執筆したケーススタディがやっと出版された。出版社は各種学術ジャーナルも出版しているEmerald社。これが(ほぼ)私の人生初の出版業績となる。細かく言うと20年近く前に国連機関でインターンシップをしていた際に参加したプロジェクトが論文化されており、そこに共著者として自分の名前も入っている。しかしこの論文はPeer reviewではないし、掲載されている名前は旧姓だし、自分の出版物という感覚はほとんどない。

 

今回のケーススタディ出版は、今の名前になって、今の研究分野で、博士学生としての業績としてカウントできるもの。ただし、内容は博士のプロジェクトとは別。テーマは共通しているが、全く博士課程とは関係なく副業的に行っていたので、指導教官も知らない。自分で書いた英語の文章を自分のお金で英語の校正サービスに出して修正、事例掲載会社に了承を得た上、写真等の素材を提供してもらった。Editorの先生と何度もやり取りして完成させ、最後は出版社の下の制作会社と最終調整。一連の作業を経験できたのは良かった。嬉しいのはGoogle scholarのアラートでその出版物が流れてきたとき。ついに自分の名前を自分で見ることになった。使う予定はないけどEndNoteにも登録してみた。オンライン上ではもちろんPDFで見ることができるが、せっかくなので紙版もアマゾンから注文してみた。

 

シアトル学会のProceedings発行…からの問い合わせ

8月に発表するシアトルの学会のProceedingsが出版された模様。上のケーススタディの数日後、Google Scholarのアラートで再び自分の名前を確認。これも業績としてカウントできるので、1週間のうちに2つ、研究者としての業績が公になったことは嬉しい。シアトルの学会はもともと1万ワード程度のFull paperを提出し、それに対する審査を経て、発表者としてアクセプトされている。一方、ProceedingsにはAbstractしか掲載されないため、提出したFull paperは修正後、ジャーナルに投稿することができる。Reviewersのコメントを受けて、かなり修正した上で先日、とあるジャーナルに投稿したところ。

 

このProceedings関連で昨日一つ出来事があった。夕方に知らない人からメール。署名欄を見るとSydney Uniの先生で怪しい人ではなさそうだった。用件は学会のProceedingsに掲載されているAbstractに興味を持ったので、良かったらフルペーパーをシェアしてもらえないか、というリクエスト。学会に参加する人は期間限定で学会サイト上でFull paperにアクセスできるので、この人は学会に参加しない人なのかな?初めてのことで、私はどう対応したらよいのか分からないので、指導教官にアドバイス依頼中。私と全く関係ない人が私の研究に興味を持ってくれたのは初めての経験で、正直うれしい。でもどうやって私のメールアドレス(大学の)が分かったんだろう?

 

初投稿論文の進捗

シドニー旅行に行く直前に人生初、論文を学術誌に投稿した。

fourty.hatenablog.com

その後、一週間旅行していたので論文のことは完全に忘れていて、戻ってきた先週、そういえばどうなったかな、と投稿サイトをチェック。ステイタスはEditor assignedのまま。あれ?普通Editorの判断は数日と聞いていたけどおかしいな?と思って、Springer社のサイト(Editorial Manager)の色々なところを見ていたら、Author statusというリンクがあった。何気なくそこを押してみたら、なんと!共著者である副指導教官がConfirmしていないという事態…。まさか身内が止めていたとは。

 

ちなみに正指導教官は提出当日にConfirmしていた。副指導教官が10日間止めているせいで、おそらくEditorが論文を確認する状況にない。Editorial Managerの機能を使って、再度Confirmationのメールを副指導教官に送るとともに、メールでもリマインド(Ccに正指導教官)。それでも2日間動きがないので、再度、Editorial Managerからメール送付。もしこれも聞かないようなら、正指導教官から直接プッシュしてもらおうと思っていたら、ようやく先週の金曜日にConfirmした。

 

副指導教官は一度も社会人をしないで博士課程からアカデミアに入った人。完璧主義者で研究者としては優れているのだろうが、とにかくすべての仕事が遅れている。仕事を抱えすぎていっぱいいっぱいになっているのに、一つ一つの仕事を細かく実施するので完全にオーバーフロー。仕事を断ったり他人に振ることを知らない。一般社会なら仕事ができない人のカテゴリーに入るが、学術界では立派な業績を積み上げて、今は(暫定)学部長の立場。私のPhD友達で、この人を正指導教官として博士研究している人がいるが、彼女の話を聞くと1年目の審査の文書も1か月近く見てもらえなかったり、その遅れのせいで土日に稼働せざるを得なかったり、と明らかに支障が出ている。

 

今回のことで改めて思ったのは、私の正指導教官はこういうタイプじゃなくて良かった、ということ。正指導教官は私と同じで15年程度、企業で働いた後にPhDを取り、その後大学で研究者をしている。仕事の進め方が自分と似ているのでとてもやりやすい。タイムマネジメントに関しては、性格の問題もあるかもしれないが、経験の問題も大きいように思う。組織で働く人は、納期を守れない場合、信頼を得られず自然淘汰されていく。その点、学術界はアーティストと似ているのかな、と思った。納期が一番の優先項目ではなく、おそらく質が最も重要視される世界なのだろう。ネガティブなことを書いてしまったが、副指導教官自身の性格はとても良くて、気配りができるし(むしろしすぎるくらいだし)、私と同世代で子供の年齢もほぼ同じ、共感することは多い。だからこそ、このタイムマネジメントの出来なさが際立つ。

 

話が長くなったが、今朝、何気なくEditorial Managerを開いてみたら、ステイタスが動いていた。Editor assignedからReviewers assignedに。とりあえず、最初の関門はクリアしたということだろうか?Reviewersにめちゃくちゃ言われてもいいから、何とかこのまま進んでほしい…。

 

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