40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。

足りていないのは英語力?

前回の記事で書いた指導教官から先行研究レビューのドラフトへのフィードバックをもらった話の続き。6,000ワード超のドラフトに対してついた859か所のRevisionsを金曜日に一つ一つ確認しながら、現在の自分のどのあたりに課題があるのかを確認。やりながら、自分は非常に高いハードルに対して挑んでいるような気がしてきた。感じたことや学んだことを残しておきたいと思う。

fourty.hatenablog.com

 

まず、自分を過度に落ち込ませないために役立ったのは、先々週に受けた博士課程必修コースの講義の中でのWritingの講義。タイムリー過ぎてありがたい。そこで紹介された4コマ漫画と講師の先生からのコメントを振り返る。

 

1.ドラフトが真っ赤になって返されるのはノンネイティブだけの話ではない

以下がWritingの講義で紹介されていた4コマ漫画。講義をしてくれた先生(オーストラリア人)も自分自身の体験を交えて、博士論文のドラフトが血が滴るくらい真っ赤になるのはよくあることだし、むしろ指導教官が熱心に指導してくれている証拠ということを言っていた。その先生自身、ものすごい赤が入って戻ってきた経験があり、しばらく落ち込んでしまったらしい(とくに学部を首席で卒業したくらい優秀な人だったので)。また、初めて投稿論文を出した時に査読者から厳しいフィードバックが返ってきたのをみて、ショックでそのまま論文をキャビネットにしまって封印してしまった話もしてくれた(もったいない…)。

f:id:aruimk:20200503075807p:plain

Wiringの講座で紹介されていた4コマ漫画

2.自分に最も足りていないのは英語力なのか

自分のドラフトのフィードバックに戻ると、まず明らかなのは英語力が足りていないこと。一つ一つ先生のコメントや修正を見ていくと主だった指摘は、①使っている英単語が稚拙/不適切 ②文章構成が稚拙 ③一文が長すぎる ④文献参照が不適切/不足 という4つに分けられるように思った。

 

①使っている英単語が稚拙/不適切

直された部分を見ていくと、自分ではなじみがない(自信をもって使うことができていない)単語がいくつかあった。以下は一例。

・Encapsulate ← (原案)Cover

・Encompass ← (原案)Include

・Contend ← (原案)Contest

・Attempt ← (原案)Try

このように並べてみると、右の自分がもともと使っていた単語は中学生レベル。意味は通じるのだろうが、アカデミックライティングには不適切であったり、もっと正確に表す単語があるんだろう。左が先生が提案してくれた単語。私は英単語のストック(特に動詞)が少ないんだと思い知らされた。いろいろとサイトを見ていて、英語では動詞が非常に重要ということを書いてある記事があった。今後、文献を読みながら使われている動詞に注意を払って自分の中でのストックを増やしていくしかない。

名詞を用いた表現が日本語的で,動詞を用いた表現が英語らしい英語となるのはなぜだろうか。

日本語では「する」,「なる」,「ある」のような,単体ではあまり意味を持たない動詞がよく使われるため,重要な意味を名詞で表すことが多い。それに対して,英語では意味に富んでいる動詞が多数存在するため,動詞に重要な意味を持たせることができる。

https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/story/newsletter/english/10.html

 

②文章構成が稚拙

 これは単語レベルではなく、文章自体が稚拙なパターン。Poor expressionとコメントされた文章を指す。多数あるため、それぞれを分析できていないが、具体的には例えば以下の文章。

その1:Hanlon (2008) argued that the business case studies ignore the complexity of the social relations in reality; instead, they admit profit as unquestionable orthodoxy and analyse the relationship between business and society with profitability filter.

その2:Deregulation and privatization of individual policies together with the institutionalisation of wider scope in business and society are drivers of explicit CSR not only in the UK but in the European region (Eberhard-Harribey, 2006; Matten & Moon, 2008)

 あとで全部ちゃんと抜き出してみてみようと思うが、Poor expressionと書かれている文章を読んでみると、確かに変な文章な気もしてきた。言いたいことが良くわからない、ということなのかもしれない。言いたいことを英文で表す能力が不足しているのだろう。頭の中で日本語を英語に変換する過程でおかしいことになっていると思われる。解決策の一つは次の③と関係するのかもしれない。

 

③一文が長すぎる

 これは日本語でもある自分の文章の癖。他の人が書いた文献を読んでいて、一文がすごく長いな、と思うこともあったので、許容されていることだと思っていた。ただ、英文作成能力が低い自分がこれをやるとおかしなことになるのだろう。今回先生に直された文章の中で、私が書いた文章を2つに分ける、というものが少なからずあった。以下がもらったアドバイス

I recommend that you keep sentences short and concise as possible. Rule of thumb:
One sentence = one main argument

 

④文献参照が不適切/不足

これは単に私がアカデミックライティングのルールを知り尽くしていないせいだと思う。どうしても自分の職務経験から知っていることが多いので、なんとなく書いてしまっている文章があり、そういったものには先生から「参考文献は?」というコメントが入る。また、過去の議論を振り返る際には当たり前だが古い文献を使ってよいが、最近の傾向を書くときに文献が10年以上前のものを使っていると、「もっと最近の文献で何が言われているか調べてみるように」というコメントが入っていた。これから気を付けていこう。

 

全体を振り返ると、やはり自分の英語力の不足が露呈した形に見える。そこで疑問が湧いた。私の英語力が不足していることはわかったが、それ以外の能力はどうなんだろうか。今回、先生からの指摘はほとんど英語の文章表現や参考文献についてであり、内容に関しては1、2か所だけだった。これは先行研究レビューの仕方としては合格点をもらえているのか、それともその前にある英文作成力にそもそも課題があるので、内容に関する指摘まで入れられていないのか。

 

私が今抱えている最も大きな課題が英語力であるならば、今後の対策は英語の勉強を積み重ねて、徐々に上げていくことになる。一方、先行研究のレビューの仕方自体が変ということであれば、英語力以前に別の課題があることになる。これはオーストラリアの大学院にいるからどう、という話ではなく、そもそも自分が博士課程にいて良いのか?という疑問も湧く。対策としては、別の場所でトレーニングをやり直すという選択肢やアカデミックライティングについて一から学ぶという必要性が出てくる。先生からのメールでは、 You are good at distilling the literature and drawing out key arguments. と書かれているので、主要な課題は英語力、と結論付けたいが、念のため明日のミーティングで確認してみよう。