40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。2023年3月帰国、フルタイムで働きながら博論執筆中。

博士課程の必修コースワークを受けた

今週はイレギュラーな1週間だった。月曜日から木曜日までの4日間、社会学部の博士課程学生が必修で受講するコースワークがトータル20時間設定されており、平日の夫との役割分担も変更を余儀なくされたし、引きこもり生活でしばらく読み書きしかしていない英語を聞いたり話したりする必要性に迫られた。まあまあ頑張ったと思う。ただ、今週は何となく、ずっと頑張りすぎなくても良いのではないか、疲れたら疲れたと言って愚痴ることも心の健康のためには大事ではないか、という声が自分の中から聞こえた。

 

コースワークについて。

私が所属している大学の社会学部の博士課程は、通常3年3か月で終了するが、その間に120時間のコースワークを取ることが求められている。コースワークと言っても、学部生やコースワーク修士の学生のように、文献をたくさん読んでレポートをまとめる、ということは求められておらず、どちらかと言うとセミナーを受講するような感じ。コロナのせいでとにかくいろいろなスケジュールが狂っていたが、社会学部の博士課程の学生が必修で受けるコースがようやく設定され(もちろんZoomで)、それが今週だった。コースの名前は、Advanced Research Methods in the Social and Political Sciencesというもので、研究の前提となる理論的なアプローチ(存在論、認識論、実証主義、ポスト実証主義など)、方法論(帰納的推論、演繹的推論、仮説的推論など)、リサーチクエスチョンの立て方、質的研究と量的研究の特徴と概要、倫理、インタビューや社会関係分析などの手法、その他、PhDとしての心構えなどを2時間ずつくらい、社会学部に所属する色々な先生がレクチャーしてくれるもの。1人だけゲストで別の大学の先生が教えてくれたが、その先生曰く、(オーストラリアでは)PhD学生向けにこのようなインテンシブなレクチャーをしている例はあまり聞いたことがないので、君たちはラッキーだよ、とのこと。

 

内容は概ね参考になった。これまでの人生でほとんど触れたことがない内容で、2月に博士課程が始まってから、読む論文に出てくるたびに調べて少しずつ知識を得ていたところだったので、今回、体系的に説明を受けることができたのは良かった。これらはおそらく今年の8月ごろから年末にかけて、Methodologyを整理する際に大いに必要になる内容と思われる。資料だけでなくZoomでの授業全体が大学のサイトに保存されているので、いつでも必要な時に見返すことができ、ありがたい。ざっと20時間で全体をさらって、もっと社会学の基本を勉強したいな、と思った。今はコロナのせいで、やむなくパートタイムで子供の家庭教師を兼任しているため時間とエネルギーがないが、晴れて小学校が再開され、もし時間に余裕ができたら何かオンラインのコースを探してみようと思う。

 

どうやら社会学部の下にSocial and Political Sciencesというくくりがあるようで、その領域を専攻している25名ほどの博士課程の学生(ほとんど課程を開始して1年以内)が参加した。通常ならFace to faceで集って、同期のように横のつながりができる機会なのだろうが、残念ながらZoomでバーチャルな会合。とは言え、同じような時期に近い領域の専攻をしている博士課程の学生と知り合えたのは良かった。私と同じように社会人を10年以上経験し、子供が二人いる状態で昨年秋から博士課程を始めたスウェーデン人の女性にも知り合えたし(彼女がすごいのは直近の10年弱?アフリカの4か国の国連機関で勤務していたこと。子供を産み育てながらジンバブエとかエジプトで勤務って一体どうやってるんだろう…)、修士を日本でとったというガーナ人の博士学生が個別にメッセージをくれてやり取りしていたら、彼が通っていた大学は私が住んでいた場所のすぐ近くであったことがわかり、親近感を抱いたり。あと留学生ばかりだと思っていたら、半数弱くらいオーストラリア人がいることも分かった。

 

専攻の内容で多いのは国際関係・政治学ジェンダーだった。ここがオーストラリアだからか、移民関係の研究をしている人も何人かいた。私の研究内容はどちらかと言えば、社会学部よりも経営学部に所属している研究者のテーマとなることが多いため、同じような研究をしている人は一人もいなかった。一人だけ、グローバル企業とEU政策の関連をテーマにしている人がいた。あとは政策関連で気候変動を扱う人が2人いた。それにしても社会学部の人たちのテーマ、聞けば聞くほど全部面白そう。社会が変わり続ける以上、テーマは無限に転がってるんだな、ということがわかる。コロナをテーマにするという人もいた。

 

振り返りを書いていたら楽しそうだけど、久しぶりに英語を聞いたり話したりしたことで、脳が大変疲労した。自分の英語がまだまだな事実にも向き合わされた。今週はこの講座を受けながら、早朝の2時間を使って先週書き上げた既存研究の最初のセクションの初稿の推敲に取り組み、金曜と土曜(本日)の半日も割いて、先程、指導教官の先生に送りつけた。記事が長くなったので、この話は次の記事に書くことにする。

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土曜なのに頑張ったから少し早めにビール解禁

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