40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。2023年3月帰国、フルタイムで働きながら博論執筆中。

研究の進捗、大学でのワクチン接種、PhDを辞めた学生

今週は何か色々とあったので、日記形式で書き残し。

 

まずは大学のこと。大学は今週が後期(Semester 2)のWeek 2。Victoria州のロックダウンは先週の火曜日で終わったけど、Week 1の先週は授業はすべてオンラインであったようで、Week2の今週から対面授業再開だったらしい。月曜日に大学に行ったら、めちゃくちゃにぎわっていてびっくり。PhD学生は授業が無いから、いまいち大学の動向に疎くなる。なんにせよ、若い学生がキャンパスでわいわい楽しそうにしているのを見るとポジティブなエネルギーがもらえる(気がする)。

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ランチタイムは特に賑やか

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芝生に寝転がってオリンピックを見ても良い(まだ寒いが)

先週インタビューした2名分の文字起こし原稿を再確認の上、お礼とともにそれぞれの参加者にメールで送付。これで予定していた日本企業へのインタビューは一通り終了した(もう1社、協力してくれそうなところはあるので、そのうちフォローアップ予定)。これからはオーストラリア企業をあたっていくことになる。

 

当初、日本、イギリス、オーストラリアの3か国を対象とする予定だったが、イギリスの企業からは1社も協力が得られず(やりとり自体は3社ほどからあったが実らず)、イギリスを対象国とするのは断念した。どこかの記事に書いたが、元のグローバルの大企業500社のリストをベースに、他のヨーロッパの国に対象範囲を拡げることを考えていたが、結局、日本とオーストラリアの2か国の比較分析にすることになった。その場合、オーストラリアの企業がもともとのリストの中では少なすぎるので、別のリストを使って洗い出しし直す必要が出てきた。

これを火曜日と水曜日に実施。ASX100というオーストラリア証券取引所に上場している時価総額上位100社をターゲットとして、本社がオーストラリアではない企業(ニュージーランドなどの企業)を省く。そして残り90社強のWebsiteや公開されている情報をすべて見て、調査対象をクライテリアと見比べてデータベース化していく。昨年の11月頃から2か月くらいかけてグローバル500社の作業をしたので、作業自体は慣れているが疲れる。今回は90社程度を2日間で完了させた。ひたすら作業になるので音楽を聴きながら進めていたが、火曜日はリストの1番から60番まで一気に進めてふらふらになった。

 

水曜日に61番から100番までスクリーニング。改めて見ると、オーストラリアって産業構造が日本と全然違う。多いのは金融と鉱物。製造業はほとんどない。日本の場合、上から100社取った時にいろいろな業種があって面白いが、オーストラリアはある意味単調。あと、日本なら多くの大企業の本社は東京にあるが、オーストラリアの場合、シドニーメルボルンがどっこいどっこいで、あとはパースやブリスベンにもある(特に西オーストラリア州は鉱山が多いのでマイニングカンパニーの本社がいくつかある)。これからスクリーニングした企業に怒涛のリクルーティングメールを送って、少しでも多くの参加企業を募る。最低5社はインタビューしたいところ。どうだろう…。

 

水曜日は家で作業していたら、大学からメールが。なんと大学の診療所でファイザーのワクチンが打てるようになるとのこと。これまでは60歳以上でアストラゼネカなら大学でも接種できるようになっていたけど、ついにファイザーまで回ってくるようだ。と言っても8月中旬からなので、もう少し先。私は8月下旬にすでに競馬場で2回目の接種予約をしているので大学では接種しないと思うけど、これから若い人にも広げていくときに、インフルのワクチンみたいに大学で無料で接種出来たら楽だろう。

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同じような内容で大学のHPにも公開されている

ワクチンがらみで言うと、夫も明日、私が接種したのと同じ競馬場で予約が取れた。昨日サイトをチェックしたら、1回目の人向けに少しだけ枠が開放されていて、さっそく予約。立場が一番弱い外国人であり留学生(一時滞在者)の我々にも、40歳以上であるということでファイザーが回ってきたので、だんだんオーストラリア国内にも流通してきたな、と感じる。

 

今日は午前中に学科のReading Groupがあったので参加。相変わらずオンライン。今回のテーマが私よりも少し前にPhDを開始したベトナムからの留学生の研究テーマと近かったので、オーガナイズしている先生に「彼は今日来るんですか?」と何気なく聞いたら、なんと「彼はPhDからwithdrawしたよ」という衝撃のニュース。英語がうまく聞き取れなかった可能性もあるので「違う学科に行ったんですか?」と聞いたら、「いや、彼は別の道を選んだ」という話。

 

そのオーガナイザーはそのベトナム人の学生の指導教官だったこともあり、情報は確実。びっくりして声が出なかった。そのベトナム人の学生の1年目の審査は3月にあり、私も聴講していた。あとで聞いたのは、審査に受からなくて、3か月後に再審査をすることになったとのこと。それが6月にあったはず。おそらくその再審査も通らなくて、結局自分から辞めたのか、学部から辞めさせられたのかは分からない。

 

彼の調査は少し特殊で、社会学部とIT学部?の両方に籍を置いて、指導教官もそれぞれの学部から出ていた。1年目の審査では、自分が開発した地理学に関係するソフトウェアのプロトタイプを紹介していた。こちらの自治体とも連携してプロジェクトを進めていたようだ。良く出来ているな、と思ったけど、社会学部の審査官からは、社会学の視点から結構厳しい突っ込みを受けていた。確かに発表を聞いていて、なんだか仕事のプレゼンみたいだなあ、とは思った。実務と学問は違うから、彼の場合は研究内容が学問的に合わなかったのかもしれない。

 

私自身もこの点はヒヤヒヤする。研究している専門領域で実務経験を10年以上積んでいるが、アカデミックなアプローチと実務は全然違うことにPhDプログラムを始めてから気が付いた。アカデミックなアプローチに違和感を覚えたり、納得できない自分もいたが、だんだん慣れてきて、今はそういう視点もあるかな、と思いながら分析を進めている。でも最後までそのように思えない可能性もあったわけだし、今のところ指導教官のアドバイスもあり何とか形になっているけど、最後、博士論文の関門をクリアできるのかどうかは分からない。

 

PhDを途中でやめる判断をするのは辛いことだと思うけど、誰だって自分でやってみなくては分からないことなので、ベトナム人学生についても、彼がPhDを始めたこと自体が間違っていたとは思わない。実際、学部から奨学金をもらっていたので、修士時代の成績は良かったはず(確かイギリスの大学で修士を取ったと言っていた)。私とその学生とは、同じような時期にPhDを開始して、本来なら英語にハンデがある留学生同士もう少し仲良くなれたはずだが、コロナのせいで学科のミーティングや集まりが1年以上全てオンラインになり、直接彼に会ったのは昨年の2月ごろ1回のみ。友達になれないまま終わってしまった。

 

気分転換するために昼食は久しぶりにUni Barでハンバーガーを食べた。ここは昼からビールが飲めるが、もちろん飲まないでおとなしく食事だけ。このUni Barも今週からやっと開いたので、やっているうちに行っておかないと、と思った。昨日は新規感染者がゼロというニュースがあったが、今日は数人出て、またスナップロックダウンになるのではないかという噂もある。完全にコロナに生活をコントロールされている。

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