40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。2023年3月帰国、11月に博士号取得。現在は東京にある外資系企業で勤務。

渡豪して3か月 振り返り

昨日で渡豪して3か月が過ぎた。この1か月は振り返らざるを得ない。すでに1か月前の記事が懐かしい。どう考えても変化が多い激動の1か月だった。

 

fourty.hatenablog.com

 

 あまりにも多くの変化があり、うまく整理しきれないが、研究関係と生活関係に分けて記録しておく。

 

研究関係

1か月前の私は研究のスタート地点に立ち、1か月弱前にライティングに着手したようだ。1か月でLiterature reviewの最初のセクションのFirst draftに取り組み、一昨日書き上げた。分量は6,500words程度。参照した文献は73件。

 

木曜日の昼にそのセクションのまとめの最後の文章を書きあげ、しばらく見たくない気持ちだった。クオリティ的には2~3割の出来だと思うので、先生に提出する前に何度か推敲が必要になる。ただ、何とか力づくでも初稿を書き上げたこと自体は、一つの進捗として認めよう。昨日、意を決して最初から読み直し、今ガンガン直しを入れている。最初のころの文章は最後の方と比べると英文も拙く、内容も表面的。参照文献も凸凹している。既存研究の重要なポイントを押さえられているかどうか、不安は残る。ただ、1か月前に自分が書いた文章が拙く感じるということは、この1か月で自分は成長したということ。また1か月後に読むと、今書いたり直している文章も拙く浅く感じるのだろう。

 

内容は、自分がこの10年間、実務の世界でやってきたことを、学者たちがどのように理論立ててきたのか、振り返るもの。以前もどこかの記事で書いたが、相変わらず実務とアカデミアの乖離はある。私だけでなく、周りの同分野の実務者を見ても、学者の論文を読んでいる人は限りなくゼロに近いと思う。そもそも会社員として論文データベースにアクセスする権利もないし、仕事が忙しすぎて論文を読む時間もない。この辺りは、研究開発の領域とは大きく異なる。所属していた会社では、大きな技術センターを抱えており、研究者も多数いた。これらの研究者(社員)は大学の先生と共同研究したり、論文書いたり、学会で発表することもある。仕事を通じて論文博士を取った人や、会社からお金をもらって大学に通い、博士号を取った人もいる。

 

一方、私がいた本社機能(技術系と対比して事務系と呼ばれる)のほとんどは、学者の論文は読まない。ましてや海外のジャーナルに乗っているような内容は知らない。でも論文を読まなくても実務上困ったことはない。最新情報はWebサイトやセミナーで手に入るし、まとまった知識が欲しいときに書籍を読むくらいで十分だった。このことについてどう考えて良いのか、まだわからない。自分は実務の経験を積んだ上で、今はアカデミアに足を突っ込んでいる状態。Literature reviewでは実務をやっていた自分が感じる色々は置いといて、可能な限りアカデミアの世界に馴染ませて書いた。この世界のルール上、自分の経験は事実であっても、論文には直接反映できない。そして、足を突っ込んでみると、アカデミアはアカデミアで面白い部分もある。そういえば、修士論文を書いていた時にもそう感じたんだった。ただその時は、大学に残って興味の赴くままに研究を突き進めても、自分が何のためにやっているのか途中で分からなくなりそうだから、リアルな実務の場に自分を置きたいと思って就職した。今振り返ると、すでに実務とアカデミアの乖離を感じていたのかもしれない。

 

次の1か月は、書き上げた初稿の修正をしながら、次のセクションを書き始める。予定では1か月後には、そのセクションもほぼ書きあがっているはず。まだ十分に論文が読み込めていないので、リーディングを集中してやる必要がある。

 

生活関係

生活関係はコロナウィルスによる変化にさらされた1か月だった。この1か月間のブログ記事にいろいろと書き残している。昨日、久しぶりにオーストラリア政府のホームページでコロナウィルスの感染状況のグラフを確認したら、3月末をピークに鏡のようなグラフになっていた。新規感染者数の数字だけで言えば、1か月前と今はほぼ同じで、1日あたり数十人。その間に高い山がある。

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http://aus.gov.au/current-numbers

3月の下旬に立て続けに打った施策が目に見える形で利いているのがすごい。ニュースのサイトにきれいなまとめがあった。これを見るのも振り返り。3月下旬、毎日のように首相が記者会見し、情報がアップデートされていて、情報についていくのに大変なくらい。いつも夕方にオーストラリアのニュースをチェックしていたが、重要な情報は外務省の総領事館が日本語で要約したものをその日の夜にメール配信してくれる。平日の夜や休日にもメールがバンバン来るので、総領事館の人たち大丈夫かな、と心配になるくらいだった。

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オーストラリアのニュースサイト(9 News)からの抜粋(4月3日にアクセス)


オーストラリアは規則に違反して外出したり、集まったり、店を営業したりすると罰金を食らう。毎日どんな人がどんな状況で罰金を食らったかがニュースになるが、気になってついつい見てしまう。友達10人で集まって庭でバーベキューして罰金(3人以上集まってはいけないルール)とか、サーフィン中に罰金(海の上でもSocial distancingは適用される)とか、なんかオーストラリアっぽいな、と。警察は結構ちゃんとチェックしているようだ。ルールを破った人からお金を徴収し、それがまわりまわって社会全体のために使われるのは公平な気もする。

 

そして今週水曜日から始まった子供のリモートラーニングについてはネタに尽きない。別の記事に書きたいと思う。先生との個別のやり取りや、校長先生からのメッセージを見て、先生たちも試行錯誤しているし、学校に対して保護者側からいろいろな要望が出ているようだ。子供たちは学校に行きたがっている。2学期が始まる水曜日の朝、長男が自ら学校の制服に着替えていたのを見たとき切なくなった(画面越しに会話するわけではなく、制服を着る必要がないと知って後で着替えた)。2か月前には、学校に行きたくない、と言っていたのに、今は行きたい、と言っている。英語がわからなくて授業に全然ついていけなくても、子供にとって楽しい場所なんだ、ということがわかってうれしい。子供たちはこの1か月、家族としか話をしていない。学校が再開されるのが待ち遠しい。1か月後にはどうなっているのかな。

 

 

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大家さんのおばあちゃんがイースターにくれた贈り物。ギリシャのパンは少し甘くてとてもおいしい。赤い卵は皮をむいたら普通のゆで卵だった