40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。2023年3月帰国、フルタイムで働きながら博論執筆中。

ロックダウン4.0の生活

ロックダウンじゃない時とロックダウン中は、本当にいろいろなことが変わる。メルボルンの4回目のロックダウン(ニュースではロックダウン4.0と言っていた)は、先週金曜日から始まったが、本当の試練は小学校の閉校による子供の家庭学習がスタートする今週月曜日から。試練だと思っていたけどやっぱり試練。自分が研究に割ける時間は良くて3~4時間、悪いと2時間程度になってしまう。でも今回はショートロックダウンのはずだから無理をしないと決めている。ストレスをためないことが一番大事。ブログを書くよりも少しでも自分の研究時間に割くべきだけど、半ば投げやりの気持ちにもなっていて、本当に最低限のことだけをすることにした。

 

月曜日に家庭学習がスタート。私は長男担当+次男の英語も必要に応じてサポート。朝9時から午後2時過ぎまで、夫も私も子供の学習にほぼ付きっ切りになってしまう。夕方は夫と交代で子供を公園に連れていく。昨年のロックダウンよりも子供たちの学年は1つずつ上がったから、勉強する量が増えて、レベルも上がっている。子供たちはまだまだ英語に不自由しているので、英語がわからないからと言って勉強を投げ出してしまう。だから横について、課題で求められていることを翻訳して、時にはレベルを(勝手に)下げて、できる範囲でやらせるように励ましながらやっている。

 

月曜日はこれに加えてトラブル1件発生。昼食後、長男が裏庭でサッカーの練習をしていたら、ボールがダイニングルームの窓ガラスに当たって、「ガッチャーン!」と完全に割れた。かなり大きな窓ガラスだったのですごい衝撃。一瞬何が起きたのか分からないくらい。割れたガラスがボロボロ落ちてきて危険なので、とりあえず夫に応急措置をしてもらっている間、私は急いでGoogleでガラス屋さんを探して連絡。

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ガッチャーン!!という音とともに割れた窓ガラス(冷たい空気がどんどん室内に…)。

子供の小学校の近くにガラス補修を早くやってくれそうな業者がいたのでフォームで問い合わせた(上の写真を添付して)。間もなく電話がかかってきて、事情を説明。窓ガラスのサイズが大きいので、在庫を確認しないと分からない、明日になるかもしれない、と言われたので、なるべく今日直してもらえると助かります、と伝えた。そうしたらありがたいことに夕方に来てくれた。

 

ガラスの修理屋さんはとても気さくな人で、自己紹介して私の名前を告げたら「日本人か?」と聞かれた。大の日本好きらしく、4回も旅行で日本に行ったとのこと。日本が好きすぎて、家に欄間を作ったり、畳をしいたり、裏庭を日本庭園にしているとか。函館で食べたウニが美味しかったとか、旅行した時に日本人に親切にされて感激したとか。東京オリンピックは不運だったね、とも言ってもらえた。でもおしゃべりばかりしているわけではなく、仕事も超早かった。割れたガラスをバリバリと素手ではがして、シートの上で足で踏みつけて粉々にしていたのはびっくりしたけど、手際が良いのは見ていて分かった。結局30~40分くらいで窓ガラスの修復は完了。冬のメルボルンで窓無しで過ごすのは1日でも辛いので、すぐに直してもらえて本当に助かった。

 

価格は電話の時に伝えてもらっていた通り410ドル。1,000ドルくらいすると思っていたので、そんなに高くはないかな。とはいえ臨時出費。本当に長男には金がかかる。今年に入ってから彼の眼鏡を2回買い換えて800ドルとか(視力が悪くなってレンズだけ変えた途端、今度はフレームを壊してきて作り直しという‥)。もうちょっと注意して生活してほしい、と伝えるけど、本人もわざとではないのでどうしようもない。

 

月曜日の昼には指導教官との定例ミーティングもあった。正指導教官も副指導教官も今回のロックダウンにはかなりショックを受けている。どうしてもVictoria政府の悪口が出る。なんでいつもVictoriaだけこうなるの?!と。今回の感染はもともと南オーストラリア州アデレード)の隔離ホテルから漏れ出したウィルスだけど、結局メルボルンで市中感染が起きているという…。単に人口が多いだけでなく移民も多いので、常に海外から持ち込まれるリスクが付きまとうが、それにしても、何故いつもメルボルンだけひどい目に合うのか、という気持ちはわかる。

 

副指導教官には、子供のホームラーニングも再び始まりましたね、と伝えたら、すごい勢いで返事が。メンタル的に今回のロックダウンが一番辛いと言っていた。ホームラーニング初日の月曜日午前中は子供の学習サポートで自分のことは何もできなかったとのこと。英語ができる子供たちでもやっぱり親は大変なんだということが分かった。

 

ミーティングでは有益なアドバイスをもらえたけど、しばらく研究が滞るので、忘れないようにメモをちゃんと取っておいた。ミーティング後の雑談で、ワクチンの話になった。正指導教官はミーティングの2時間前に1発目を打ってきたとのこと。50代だからアストラゼネカ。オーストラリアは年齢のことをあまり話題にしないけど、ワクチン話になると年齢の話にどうしてもなる。アストラゼネカは基本的には50歳以上なので、アストラゼネカを打った人というとほぼ自動的に50代以上となる。

 

子供の友達の親で看護師をしている日本人も何人かいて、ワクチン接種の病院に勤めている人もいる(当然本人は医療従事者として早々に接種済み)。ワクチンのことを話すと色々と情報をもらえて面白い。アストラゼネカは数ドルだけど、ファイザーは20ドル以上するとのこと(打ってもらうのはどちらも無料)*1。だから血栓ができる可能性が低い50代以上は基本的にアストラゼネカ血栓のリスクが50代以上よりも高い(と言ってもかなり低リスクだが)40代以下はお高いファイザー製。保護者と話していても「私は若くないからアストラゼネカだわ。あなたたちはまだ若いからファイザーでしょ!」とか何かとワクチンの話題は年齢の話題につながる。

 

副指導教官はおそらく私と同じくらいの年(40代前半)。今回のロックダウンに伴い40代から接種ができるようになったが、オンラインでも予約サイトにアクセスできず、電話も何度かけてもつながらないとのこと。「あなたはまだ対象じゃないと思うけど」と言うので「え、私も40代ですよ。今回のスコープに入っています」と伝えたら少し驚いていた。子供も同じくらいの年齢だし、私は副指導教官は自分と同い年の可能性もあるな、とさえ思っていたけど、相手からすると私は学生ということで感覚的に年齢が下に見えがちなのかもしれない。

 

この辛いロックダウンを再び経験してみると、やっぱりワクチンをできるだけ皆が接種することで、今回が最後のロックダウンになってほしいな、と思う。

 

*1:この記事に書かれている欧州でのワクチン価格と概ね合っている。アストラゼネカが1.78ユーロ、ファイザーは12ユーロらしい。https://www.jiji.com/jc/article?k=2020121900183&g=int