40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。2023年3月帰国、11月に博士号取得。現在は東京にある外資系企業で勤務。

7か月かけてリジェクト、研究会で発表

7月に入ってバタバタと忙しくしている。そんな中、残念なニュースが。前回のブログで触れた査読中だった投稿論文、結局リジェクトになってしまいました。投稿したのは12月15日。最初の判断を下すのに7か月以上かかっている。長すぎる…

 

fourty.hatenablog.com

 

チャレンジングなジャーナルではあったけど、最終的にはフィットの問題だったのかなあ。レビュアーは3名。当初2名のレビュアーのうち1名から辛辣なコメントがあり、3人目のレビュアーに回ったようだ。Editorからはとても丁寧なメールが来た。ここで変に時間をかけて書き直しさせられるよりも、気を取り直して、もっとこのペーパーに合うジャーナルに投稿した方が良いのだろう。

 

コメントのいくつかは私の研究手法についてのものなので、そこを受け入れてもらえない場合は、永遠に掲載にたどり着かないということは分かった。そのことは博士論文の審査員2人のうち1人からも指摘された。具体的に、私の研究はGrounded theoryを使っているのだが、質的調査の難しさというか、theoryの受け止め方や捉え方が学者によって異なるので、合わない人とは全然合わない。辛辣な評価をしてきた2人目のレビュアーのコメントからは嫌悪感までにじみ出ていて、最後には「So what?」と書かれていた。

 

私が純粋培養された学者なら、So what?というコメントにきっと大きなショックを受けているだろう。こういう時、実務のバックグラウンドがあって良かったと思う。So what?と学者から言われたとしても、実務的に意味のある(少なくとも実務者である自分にとって意味のある)発見ができたので、So what?に対する回答はある。逆に言えば、自分自身が毎日現実問題と向き合う実務者であるが故、実際に起きている複雑な出来事を、象牙の塔に飾るレベルまで昇華させるスキルと視点が足りていないのだろうとも思う。ただ、机上で(もしくはPDF上で)いくら素晴らしいロジックを展開していても、実社会へのインパクトが無ければ、経営学領域の研究としては価値がないとも自分は思っている(もちろん基礎研究や哲学など、実社会へのリンクが遠い領域については当てはまらない)。

 

これは負け惜しみでもあるけど、でもこうやって書き出してみることで、次のステップに進める気がする。次に出そうと思っているジャーナルの目星はついている。もう少し実証研究を重視してくれるジャーナル。判断ももっと早い。でもどこをどう直すか、共著者である元指導教官の先生と相談しなくては。

 

今回改めて思ったのは、私のやりたいことは、トップジャーナルに学者コミュニティから評価される論文をたくさん掲載することではなく、実社会で日々起きていることに対して、なぜそれが起きているのか、どういう見方をすればよいのか、こういう見方をしてみたら実務上に行かせるヒントがあるかもしれない、という「示唆」を見つけること。その手法として「研究」があり、発表手段として「論文投稿」がある。そして発表された論文を実務者向けにかみ砕いて、講演をしたりコラムを書いたりする。

 

今日、初めて自分の論文を掲載してくれたジャーナルのサイトを見たら、Full text viewsが2,784件になっていた!オンラインでPublishされたのは2023年4月なので、1年と3か月でこんなに多くの人たちが私が書いた論文を読んでくれたのだと思うと嬉しい。

 

この論文も今回と同じように、当初、チャレンジングな(歴史のある)ジャーナルに投稿したら、4か月待った上に厳しい言葉でリジェクトされたんだった。

fourty.hatenablog.com

 

同じ流れだなあ…アカデミアって不思議な世界だと思う。

 

先週の土曜日は、久しぶりにとある研究会で発表した。持ち時間は1時間~1時間半と言われていて(長い!)、もはや発表と言うよりは講義?講演?博士論文をベースに45分くらい発表をして、その後質疑。この研究会は私が博士課程に進もうと思うきっかけをくれた研究会。実務者と研究者が半々くらいで参加している。今回東京での開催だったが、私の発表を聞くために何名も関西から来てくれた人たちがいてびっくりした。

 

実は夏バテで全然ちゃんと下準備ができておらず、前日も会社を早退。土曜日ももうろうとする中、鞭打って登壇した。ベストなコンディションではなかったので、準備やらいろいろな面で反省はあったけど、多くの人からコメントや質問をもらえたのは本当にありがたかった。そしてびっくりしたのは、4~5名の方がフルタイムで働きながら博士課程をしていること!両方同時にやるのは本当にすごいことだと思う。その上、1週間みっちり仕事して、クタクタに疲れている土曜日の午後、酷暑の中で外出し、研究会に来て学ぼうとするなんて!

 

私自身は仕事を休んで博士課程に行っていて、それでも新しい世界に飛び込んで学ぶのが大変だった。私以上に自分の好きな事を追求するために頑張っている人たちと交流している間に少しずつ元気が出てきた。

研究会の様子(Zoomから参加している人も同じくらいいた)

そして、私は体調が良くなかったので、服装も何も考えずに普段着のよれよれのTシャツを着て行ってしまったことに写真を見て気が付いた。

 

研究会の発表の後、20年来の友人(主催者の1人で私が最初に働いた会社で知り合った同僚)が、彼女が准教授をしている関西の有名私大で12月にゲスト講師をしないか、と声をかけてくれた。研究も講義も今の私には本業ではなく「趣味」なので、会社から年休を取って参加することになるけど、若い学生さんたちに講義するのを楽しみにしている。老体に鞭打って酷暑の中、しゃべったかいがあった。こうやって一つ一つが次につながっていくのだと思う。

 

そして今日は、投稿論文を直すのではなく、2週間後に迫ったAoMの発表資料作り。2週間前に資料ができていないなんて。ありものを一通り見繕って形は出来たから、明日見直して元指導教官に送付する予定。大統領選で盛り上がっているアメリカ、民主党の党大会の前の週のシカゴを思いっきり楽しむために、できる準備はしていこう。