40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。2023年3月帰国、11月に博士号取得。現在は東京にある外資系企業で勤務。

年内最終出勤日、日本語の学会誌

昨日はカレンダー上、大学の年内最終出勤日だった。翌日から図書館を含む大学のすべての施設がクローズするので、おそらく大学には行かないと思う。大学は丘の上にあって周りにお店もあまりなく、大学内に多数あるカフェやレストラン、スーパーマーケット、コンビニなどが閉まってしまうと、大学で作業したい場合、食料を準備していかないといけない。

 

オージーは早々に休みに入る人が多いので、最終日と言っても何か特別なことがあるわけではない。ほとんどの人が休んでいるからもうすでにお休みなんじゃないかと思うくらい静かなキャンパス。

休むことにかけては仕事が早いオーストラリア

私は1日200ドル払って子供をホリデーケアに預けているので、ダラダラしたり、自分もホリデー気分でいることは出来ない。年内残り仕事のうち1つ(博論の1つの章の修正)を午前中にやっつけて、もう1つに取り組んでいた。あっという間に一日が過ぎた。残り仕事のうちの1つは、日本の学会誌への投稿論文の修正。7月末に日本であった学会の学会誌にフルペーパーを投稿し、条件付き採用の連絡をもらったのが先々週。日本語は自分にとって楽な言語だから、もともと大学がクローズした夏休み中の細切れ時間で対応しようと取っておいた作業。これが終われば私の年内業務は終了。

 

3人の査読者からのコメントがあった。内容面と体裁面とそれぞれ。体裁面について、恥ずかしながらいつも使っているAPAをベースにレファレンスをしていたら、この学会独自のルールがあるらしく、3人の先生から同時に指摘されていた。ガイドに目を通して直していたつもりだけど、たくさん間違っていたみたい…。日本独自のルールなのか、学会独自のルールなのか分からないが、手作業が多く発生して時間がとられる。

 

今回、わざわざ日本語で論文を投稿することにしたのには自分なりの考えがある。日本の学会に3年程度関わっていて思うのは、まだまだ私の分野では日本語の論文を中心に研究を組み立てる学者が多いという点。つまり自分の研究がその人たちに読まれるためには、自分も日本語で論文を書いた方が良いということ。今回は博論で収集した日本企業のデータを使って、国際ジャーナルに投稿した内容とは別の切り口で構成した。この日本語の論文を書くために、追加でいくつかの日本語論文を読み、日本でどんな議論がされてきたのかを踏まえて組み立てた。日本語論文がオンラインで手に入る場合は良いが、もう絶版となった日本の書籍(専門書)をAmazon仕入れて、実家に送付して実家からメルボルンに送ってもらったこともあった。

 

私が英語で国際ジャーナルに投稿する際、読者は日本人以外を想定している。だから日本人(日本企業)にとって当たり前のことも当たり前ではない前提で書かなければならない。これ自体は自分にとってエクササイズになるので悪くない。いつもイラっとするポイントは、なぜ日本を研究対象として選んだのかの理由付けをしなければならないこと(これは博論でも同様に)。アメリカやイギリス(またその他のヨーロッパ諸国)を対象に研究する場合、99%の論文は「なぜアメリカ企業(イギリス企業)を対象にしたのか」について、論文中でJustifyしていない。これって完全に差別(というかバイアス)だろうと思うけど、結局、今グローバル共通言語が英語となっている時点で諦めるしかないのかもしれない。ひどい場合は、アメリカの様子が世界の様子であるように論じちゃっている一流学者もいる。高い教育を受けた一流の学者でも自国を相対的に見られない人がいるんだな、と(論文読みながら傲慢なアメリカ人について思いをはせることもある)。最近は、国際ジャーナルを見たとき、ずらーっと中国系の名前が並んでいることも良くみるので、この辺りの傾向も今後少しずつ変わってくる可能性もある。

 

逆に日本語の学会誌はほぼ日本人が読んでいるだけなので(一部、日本の大学に所属する外国籍の研究者もいる)、日本にとって「当たり前」のことが実は当たり前ではないかもしれないことを指摘したり、英語で書かれている主流の(実際は欧米人研究者たちの)主張と対比して差を議論したりする。一方、私自身、修士も博士もオーストラリアなので、日本でちゃんと研究活動をしたことがない。日本語で書かれた文献はほとんど読んでいないことに気が付いた。EndNoteに保存している文献785本のうち、日本語はわずか10本しかない。

 

この日本の学会の来年の発表募集が先週あった。どうしようかなあ。博論のデータを使ってまたやることもできるけど、せっかくなら違うテーマで発表してみたいとも。そのテーマは私が4月に復職した時に担当する仕事のテーマでもある。復職する前にその領域について学んでおきたいとも思っていて、そのプロセスで学会発表できるくらいの情報は貯まるのではないか。切り口的には博論で使ったフレームが適用できるかもしれない。そのことについて考え始めたら、博論に対するモチベーションが下がってきてしまった。まだまだ博論は書けていないのに、ちょっと飽き始めた自分がいる。自分の中である程度納得感がある結論が出てしまったせいなのかも。とはいえ、時間的には全然余裕がないので、サイドワークをやるのは良くないんだろうけど…。

 

先週に提出した国際ジャーナルの方のステイタスがUnder reviewになっていた。この12月という忙しい時期に、提出から5日でUnder reviewまで行けたのはありがたい。どこかの働き者の先生たちが動いてくれたおかげ。ありがたい。さすがに結果が返ってくるのは早くて1月下旬ごろだと思うので、しばらくこのことは忘れておく。

12月15日(木):Article received

12月16日(金):Assigning editors

12月18日(日):Assigning for Review

12月20日(火):Under review

何とかお願いします…