40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。2023年3月帰国、11月に博士号取得。現在は東京にある外資系企業で勤務。

博士課程とお金

ここ3週間くらい、かなり頑張って博論に取り組んでいる。12月初めに3年目の審査があるから。そこにある程度、質の高いDiscussionの章を提出したいが、先月、理論的フレームワークを大幅に改訂することにしたので、それに合わせてDiscussionを書き直している。その話はまたもう少し落ち着いたら書く。3週間ほど前は絶望的で頭痛にさいなまれていたが、なんとなく形は見えてきた。指導教官に出した第2稿目は、It is shaping up well and is much more developed than the last version.とのこと。ちょっとだけ安心。

 

今日はお金のことについて少しネタがたまったので記事に。まず大きな額の話から。

 

①大学からの生活費支給

大学から支給されるStipend(生活費)が2023年から10%アップすることになった。昔の記事に書いたが、私は現在2つの給付型奨学金を大学からもらっている。1つは留学生向けの授業料全額免除の奨学金。もう1つは、全学生向けの生活費の支給。今回、この生活費の支給額が大幅に上がることになった。

 

fourty.hatenablog.com

 

数か月前から大学院のアソシエーションが運動していた。私も署名やデモ(と言ってもキャンパス内)に少しだけ参加した。スローガンはNo more PhD poverty。どうやらオーストラリアでは、PhD学生の奨学金は給料のように扱われているようだ。実際、2週間おきに入金される銀行の明細には”Salary”と記されている(ただし非課税)。今のStipendを週5日フルタイムで働く前提で割ると、最低賃金(約21ドル)を下回るらしい。最低賃金を上回るようにというのがアピールの骨子。

雨の中、キャンパスでデモ

結果、今年は年間30,000ドル(約270万円)だったのが、来年から33,000ドルになることが決まった。ちなみにメルボルンシティに近いMelbourne Uniは34,000ドル。生活費が高いシドニーど真ん中にあるSydney Uniは約36,000ドル、生活費が安いAdelaide Uniは約29,000ドル。生活費という名目なだけあって、大学周りの生活費水準に合わせて組まれているようだ。またどの大学もそうだと思うが、このスタンダードなStipendにさらにTop-upされる奨学金もある。私は書類の作成が面倒なこともあって申し込んでいないが、こまめに調べると在学期間中に追加支給を受けられる場合も。

 

日本から来た私からすると、もらえるだけでありがたい、と思ってしまうけど、No more PhD poverty運動が起きるくらい、こちらの学生にとっては博士課程は半分仕事のような位置づけなのだと改めて分かった(その割に、まじめに毎日フルタイムで研究している学生が少ない気がするが…)。

 

②大学からの交通費や追加のグラント

この度、ゴールドコーストの学会参加の費用を大学に申請したら、実際に使う費用の倍程度のお金をもらえることになった。私が所属する大学は、PhD学生が調査や学会発表のために、一人当たり2,800ドル程度の交通費予算がある。今回はそのうちの1,500ドル程度を申請したが、一回申請して認められれば全額支給らしい。事務手続きが面倒なんだろう。合理的なオーストラリアらしいシステム。

 

この他に、何に使っても良い調査費用として、PhD期間中、4,000ドルが支給される。1年目の審査をクリアしたら2,500ドル、2年目の審査をクリアしたら1,500ドルが自動的に振り込まれた。

 

追加で学科が持っているグラントに申請。日本とアメリカ学会旅の費用として、約5,500ドルの支給を受けた。これは自動的ではなくて、一応審査があるが、コロナ直前に研究を始めた私は、良くも悪くも同期と言えるPhD学生が学科内にほとんどいなくて、おそらく誰とも競争しないで獲得できたと思われる。これらを全部足すと、約12,000ドル(110万円)を研究に関連する経費として大学から支給してもらえたことになる。日本で博士課程はよくわからないが、おそらく日本より恵まれた環境なのでは?という気がする。

 

③学内でバイト

今年は学内で3つのバイト(Casual job)をした。ブログに書いたかどうか忘れたが、給与が高い順に言うと、学部生の試験監督、障がいを持つ学生のためのNote-taking、資料のアーカイブ化である。

 

まず学部生の試験監督について。これは時給が44ドル程度(約4,000円)。キャンパス内でできるし、自分が働きたい日時を選べるし、慣れてしまえば単純なので、なかなか美味しいバイトだった。ローカルの学部生と英語でコミュニケーションしないといけない機会もあるが、まあ何とかなった。

 

次に障害を持つ学生のためのNote-taking。これは日本語の授業で募集があったので迷わず手を挙げた。中級と上級の日本語のクラスだったので、先生も日本人で授業も日本語。ノートも日本語で取って日本人の私にとっては楽すぎる仕事。しかも授業が結構面白くて、ボランティアでやっても良いくらいだなと。時給は38ドル(約3,500円)。

 

最後に資料のアーカイブ化。これは学科でやる人がいなくて先生が困っていたので、なんとなくやります、と言ってしまった案件。1960年代からのオナーズ学生の学位論文をアーカイブする仕事。単純作業だったが、タイトルだけ見ていても時代ごとにどんな関心がもたれていたのか、いつ頃から留学生が増えてきたのかがわかってまあまあ面白かった。誰とも話さず、大学の書庫で数日、音楽を聴きながら黙々と作業した。時給は36ドル(約3,300円)。

 

本来ならTeachingにもトライすべきなのかもしれないが、英語力に自信がないこと、子育てもしているのにこれ以上責任ある仕事をしたくないこと、アカデミアで仕事をする予定がないことから避けてしまった。実際、Teachingをしている人たちはみんな大変そう。でも時給はものすごくよい。実際にチューターとして教える場合、1時間で1万円以上。アシスタントだと少し下がるようだが、2年目以降は繰り返しの内容になるので、長く続けるなら割の良い仕事のようだ。

 

あとリサーチアシスタントも今ならトライできそうだが、最初の2年はロックダウンでそもそも自分の研究時間の捻出すら危うい状況だったので、諦めた。リサーチアシスタントの時給は大体50ドル程度らしい。

 

④その他の補助金

大学院アソシエーションからたまにお金のばらまきがある。一番大きかったのは、子持ちの大学院生に対して、子供一人当たり250ドル支給というもの。これまで2回、合計1,000ドルもらった。夏休み中のホリデーケアに使ったら1週間でなくなる額だが、もらえるだけありがたい。

 

⑤現物支給

これも地味に助かっている。ブログではちょこちょこ書いているが、毎週木曜日のフリーブレッド(Bakers Brightのパンを毎回20~30ドル分)、不定期のフリーランチ、フリービア、フリーグロサリー。特に毎週のパンとグローサリーの配布は家計を助けるので本当にありがたい。先週のフリーグローサリーは大漁だった。インフレの今日この頃、助かる。

 

洗剤から野菜まで、すべて使うものだからありがたい

英語での文章アウトプットが限界に来たので、久しぶりにブログ記事を書いてみた。