40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。2023年3月帰国、フルタイムで働きながら博論執筆中。

学会発表に申し込み、Moomba Festival

前回の記事で書いた2年目の審査の際に、イギリスの先生からもらったコメントで私が取り扱っているテーマ2つのうち1つについて、日本の文脈でとらえるたときに何かユニークな視点があるのか?その点をもう少し掘り下げた方が良い、という質問とアドバイスをもらった。その場の回答では、私の研究でオーストラリアと日本の2つの国の大企業を扱っているが、オーストラリアはアングロサクソン系でアメリカやイギリスと経済システムが似ている(と論文に書かれていた)、対照的に日本はドイツなどの大陸ヨーロッパの国と似ていて株主至上主義ではなく、長期雇用制度があったり国への貢献を重視していたりする(と論文に書かれていた)。日本とオーストラリアの文脈の違いについては勉強中で、博論の中で章を1つ割くつもりです、と答えた。

 

その指摘が気になっていて、翌日木曜日に大学まで自転車で向かう途中、日本の学会でこのテーマで発表をして、日本の研究者たちからフィードバックをもらったら、博論の役に立つのでは、と思い立った。所属している学会の年次大会が7月末に東京で予定されていて、発表への応募締め切りが2月末だったのが3月15日まで延長になっていた。木曜日は3月10日だったので、まだ数日あるから何とかできるような気がした。提出するのはワードで5枚の予稿(7,000字弱)とワード半ページの発表要旨(800字)。英語なら無理かと思ったけど、母国語の日本語なら何とかできる気がした。

 

とはいえ、この週末はLong weekendと言われており、月曜日が祝日。木曜日の翌日の金曜日は、子供たちの小学校(現地校)で運動会があるのでほぼ1日潰れる。土曜日は子供たちの補習校(土曜校)で1日ボランティアで、ほぼ1日潰れる。日曜日は家族で出かける予定をしているので、ほぼ1日潰れる。火曜日は締切日だが、この日は1日作業に使える。ということで、実質木曜日と火曜日の2日間+祝日の月曜日の隙間時間(子供たちが家にいるが、外出の予定はないので2~3時間なら研究に割けそう)。これだけあればなんとかなるだろうとよんで、木曜日の朝から早速着手。

 

結果、締め切り1日前の月曜日(祝)の夕方に提出できた。母国語で書くのは英語で書くより10倍楽!ネイティブはいつもこんな楽な思いをしているんだ、と改めて羨ましくなった。英語が世界共通語になって、イギリス人、アメリカ人、カナダ人、オーストラリア人、ニュージーランド人、南アフリカ人などは、絶対得をしている。ついでに、英語と言語が似ているドイツ人なども随分楽をしている。恨んでも仕方がないが、久しぶりに母国語で研究のことを文章にしてみて、その楽さをしみじみと感じた。

 

予稿と発表要旨を作っていて、研究者(少なくとも社会学系)は、文章作成力と編集力がアウトプットに直結するなあと思った。どんなに良い研究をしていても、それを伝えるための文章が上手に書けなければ、伝えたいことが相手に伝わらない。あと論文やプレゼンは、研究の全体の中からその時にハイライトしたいポイントに焦点を当てて、決められた文字数や時間に収めるための編集力が重要。私は修士後のキャリアを編集者として始めた。その時、規定の紙面に収めるために文章を短くしたり長くしたりする経験を積んだ。そして次の会社はコンサルだったので、パワポを使って提案資料や報告資料を作ることが多く、パワポの作成とプレゼン能力が鍛えられた。今更、この時の経験が活きてくるとは。人生無駄なことはないな、と40代になって思う。あとは英語でこれらが不自由なくできるようになれば最高なんだけどなあ。

 

とりあえず、自分でまあまあ満足いく状態の予稿と発表要旨ができたので、月曜日の夕方にメールで送付して終わり。7月末に日本に行けたら良いな。ちなみに申請中の別の国際学会(アメリカで開催)は8月初にあるので、うまく行けば2つの学会をはしごすることになる。国際学会の方は3月末に結果が来るようなので、それが決まってから飛行機のチケットを取る予定。国際学会は世界から1万人もの参加者が来る大きな学会で、選定が厳しいため、OKになるかどうかがわからない。日本の方は何となく大丈夫な気がする。

 

研究の話はここまでで、日曜日に参加した祭りの話。メルボルンで開催されるお祭り、Moomba Festivalに行ってきた。実は2020年、メルボルンに来たばかりの頃に近所に住むイラン人ファミリーと一緒に参加した思い出がある。確かその1週間後くらいにロックダウンが始まったんだった。2021年はロックダウンの合間でイベントは開催されていたけど、参加人数を少なくするために、事前申し込み制で、気が付いたときにはチケットが全部Soldoutになっていて参加できなかった。それで2022年の今年は最後になるだろうから、参加してみることに。

 

2020年の様子

fourty.hatenablog.com

 

参加してびっくり。めちゃくちゃ混んでいた。改めてメルボルンって大都市なんだなあ、と思い知らされる。過去2年はコロナによるロックダウンの繰り返しで、メルボルンの本領を見ていなかったのかも。2020年はそんなに混んでいなかったので、この時は既にコロナのことを心配して参加を控える人が多かった可能性がある。気温も30度近く上がって、暑くて人混みなので、一気に体力消耗。一応おにぎりを作っていったがこれが大正解。フードトラックには長蛇の列で30分以上待たなければならなそうな感じ。乗り物も2020年に乗ったのが面白かったので、それに乗ろうと思ったら、東京ディズニーランドのように長蛇の列なので諦めた。いくつか景品がもらえる露店でぱっとしないゲームをしただけ。

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これがメルボルンの現実、祭りの人混み

 

私が一番面白かったのはちょうどイベント内にあるスケートパークで開催されていたスケボーの大会。Vansがスポンサーをしていて、13歳以下の男の子たちの決勝をちょうどやっていた。クイーンズランドニューサウスウェールズなど他の州からの参加者もいたので、全国大会のようだった。長男と年が同じくらいの男の子たちがめちゃくちゃ上手にスケボーを滑っていて、見ていて飽きなかった(でも暑いからと言って、家族に嫌がられて少ししか見られなかったのが残念)。

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暑くて人混みなので、オージーもイライラしているような人が多かった。帰りに駅までの道を歩いていたら、後ろからベビーカーをぶつけられた。後ろから「あんた、前の人にベビーカーぶつけないでよ!」という女性の声。それに対してベビーカーを押していた男性は「彼女が俺の前に来たんだ!」と自己中発言。人混みの中で私が彼の前を歩いているんだから当たり前なんだが。それにしても、私が英語がわからないと思っているのか知らないが、ずいぶんな発言。私は振り返って、大きな声でゆっくりと「I'm so sorry. You can go first!(ニッコリ)」と言って、わざとらしく道をあけてあげて、自分の家族とは離れて彼の後ろに。相手は無言。自己中野郎に恥ずかしい思いをさせるのが私の目的。器の小さい人には、嫌みで対応するのが一番良い。

 

そんな感じで祭り自体はいまいちだったが、これも良い思い出になるはず、と。最近、思い出作りに必死になっている自分がいる。最初の2年でできなかったことを最後の1年で取り戻そうとしている。

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快晴のメルボルン、ヤラ川越しに見えるシティ。祭りは川の両岸で開催