40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。2023年3月帰国、フルタイムで働きながら博論執筆中。

研究部会で報告、ロックダウンの緩和

昨夜、10月21日午後11:59に、世界一長くロックダウンをしていたメルボルンの6回目のロックダウンが緩和された。ロックダウンは通算262日間とのこと。9か月弱。今朝はロックダウン明けのおなじみのニュースが流れていた。深夜から床屋、パブやバーが空いてシティではお祭り騒ぎ?している模様。私が住む郊外では特に夜のうちは変化なし。でもロックダウン明けた今日も感染者は落ち着かない。


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私はそんな街の様子とは関係なく、昨夜は日本の学会の研究部会で自分のプロジェクトを報告した。研究会はトータル90分で発表者は1人なので、発表に1時間程度、ディスカッションに30分程度時間を使うことになっている。1時間の発表ということで、作ったスライドは50ページくらい。内容はこれまでわかったことをほぼフルで入れた。

 

研究部会は日本時間夜の7時半から9時。メルボルンサマータイムで日本との時差が1時間から2時間になってしまったので、9時半から11時という、朝型の私には少し辛い時間帯だった。夜に備えて、昨日の昼はあまり頑張らずに脳みそを温存しておいた。

 

発表は特に問題なく終わり、質疑応答もそれなりに盛り上がったが、終わってみて色々と盛り込みすぎたと反省した。情報量が多すぎてまとまりがなく、聞いている人を混乱させたり疲れさせてしまったような気がする。とある大学の先生から最後に、この発表は学会発表3つ分くらいの内容がありますね、と言われて、やっぱり盛り込みすぎたことが分かった。申し訳ない。とはいえ、自分の研究内容を包括的に他人に話すのは初めてだったので、自分としてはやって良かったと思う。

 

実務者として、社内研修や社外セミナーの講師、大学の授業などで、1時間程度のプレゼンは何度か経験したことがあり慣れているが、研究となると流れも内容も異なるので、まだまだ改善の余地がありすぎると思った。自分の研究プロジェクトも緩急つけてプレゼンできるようにならないとな(ちなみに、実務者として長時間のプレゼンするときは、途中にクイズを入れたり動画を入れたりしてオーディエンスを飽きさせないようにするが、これらを研究発表でやるのはどうかとも思う)。

 

この研究部会で報告することになったのは先月の部会で部会長の先生に打診されたのがきっかけ。資料は3週間前から作り始めて先週には大体最終化していた。資料の要点となるスライド10枚弱を英訳して、今週の指導教官とのミーティングで紹介。まだ指導教官の先生に知らせていなかった分析内容が入っていたこともあり、興味を持ってもらえた。この内容をベースに来年、どこかの国際学会で発表してみたいということを伝えたら、おすすめの学会を教えてもらえた。第一候補はAcademy of Management(AOM)という、おそらく世界で一番大きい経営学の学会。毎年参加者は1万人を超えるらしい。と言っても、なかなか学会発表のハードルも高いらしく、発表を申し込んでもリジェクトされることもよくあるそう。

 

とりあえず、AOM向けに準備をして、ダメなら別の学会に申し込めばよい、というような話になった。ただ、AOMに報告するためには10,000 words弱(ダブルスペースで40ページ以下)のペーパーを出さねばならないので、準備に時間がかかる。一方で良い点は、AOMのカンファレンス発表がもしリジェクトされても、10,000 wordsのペーパーに対するフィードバックはもらえるから、そのフィードバックを反映して、別のジャーナルに投稿するための論文にすることができるらしい(AOMのジャーナルへの投稿は、学会発表よりもさらにハードルが高いため、なかなかチャレンジすらできなさそう)。

 

また、今回の話の流れから分かったのは、私の学部(学科?)ではPhD学生が在学中に投稿論文を書いたり、学会報告することについて、学生が希望する場合は勝手にやればよいというスタンスで、特に指導教官の指導責任範囲ではない模様。なので、投稿論文も通常自分だけのシングルオーサーが基本。

 

おすすめされたAOMにさっそく会費を払って加入して、サイトに上がっていた今年の学会(バーチャル)のセッションをいくつか聴講してびっくりしたことが。質的研究の論文の書き方のセッションで、学者たちが若手研究者の質問に対して回答していたが、データ収集から投稿論文執筆までの期間は、早くて2~3年、通常5~6年、自分は12年前のデータを使って論文を書いたことがある、という教授も。「データは古くならない、古くなるのは理論である」とのこと。質的研究って、ずいぶん気が長いんだな、理論構築というのは一朝一夕ではできないんだな、と色々驚きだった。面白かったのは、20年前はAOMはほとんど量的研究しか相手にしなかったが、最近は質的研究もちゃんと認めるようになったらしい。しかも、全体の論文の数と比べて、引用数が多い論文は質的研究に偏っているとのこと。

 

実は今週、もう一つ連動する動きがあって、大学が提供する研究課程学生のためのサポートに、無料で1対1でライティングのコンサルテーションをしてくれるというのがあった。試しに投稿論文のアブストラクトのたたき台を送って、メールでフィードバックをもらった上で、水曜日の昼、30分間Zoomで面談した。色々と参考になるポイントがあったので、ありがたい。しかも継続的にセッションを受けられるということで、投稿論文については、このサポートを活用しながら進めていけそうで安心した。

 

ロックダウンが緩和され、子供たちは今日から週に2日間、学校に登校できるようになった。それによって私も自分の研究時間がやっとフルタイムで取れる日ができてうれしい限り。今日は朝から2人分の弁当作り。いつもなら弁当作りは憂鬱なのに、それすら楽しく感じた。子供たちを送り出して、近所の商店街を散歩。ギリシャ人のおじさんたちがカフェの前で会合を開いている風景、床屋の前に何人も人が並んでいる風景を見て、ロックダウンが終わったんだ、と実感。

 

私も勢いで商店街の並びにある美容院に飛び込んで空きがあるか聞いてみた。夕方なら空いているということで予約。郊外の商店街の中華系の美容室。今日も安定の中国語で話しかけられた。以前一度行ったときには「Can you speak Chinese?」と聞かれ、「No I can't.」と答えたらほとんど会話なく終わったが、雰囲気は全然悪くない。今回のロックダウンが明けたら、シティにいくつかある日本人が美容師として働いている美容院に行くことも考えていたが、今朝になって、ロックダウン明け記念に今日髪の毛が切りたいという気持ちが勝った。

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写真の奥にあるM元素造型という美容室に行く予定