40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。2023年3月帰国、フルタイムで働きながら博論執筆中。

色々と手を出しすぎて忙しくなってきた

最近、色々なことに手を出し始めて急に忙しくなってきた。1年前のコロナによるロックダウン中の忙しさはシンプルな忙しさ(子供の自宅学習の家庭教師と自分の研究の両立)だったが、コロナ収束中のオーストラリアはほぼ日常生活が戻ってきていることもあり、複数のタスクを抱えてバタバタ過ごしている。

 

もちろん私の本業はPhD学生であるから、研究に一番多くの時間を使う。またデフォルトとして子育てと家事がある。子育てと言っても子供は2人とも小学生なので、おむつを替えたりずっとついて面倒をみたりということではなく、メインは宿題のフォローや学校の支度のチェックなど。家事は日本にいるときよりも増えている。月曜日から土曜日まで週6日も2人分の弁当を毎朝作らないといけないし、日本にいたときは平日の夜や休日に気軽に外食していたが、こちらでは外食の頻度はだいぶ減ったため(子連れでふらっと歩いていけるお店が少ないため)、必然的に料理をする回数も増えた。また家が広いので掃除に時間がかかる。もちろん夫と分担しているが、それぞれがやる家事のボリュームは確実に増えている。

 

これらに加えて、ボランティア(無給の社会貢献的な仕事)を2つ、PhD学生的なプロジェクトを1つ(無給だが社会貢献というよりも自分の専門性を高め、実績を積むための仕事)、有給の仕事を1つ、ほぼ同時期に始めた。自分のPhDプロジェクトを淡々と進めるだけではもったいない、せっかくオーストラリアで学生をするという機会に恵まれたのでこの特別で限定された期間を存分に活かそう、と思って欲張り過ぎた。

 

ボランティアその①

1つ目は子供関連。子供は毎週土曜日に日本語の補習校に通っているが、補習校は有給スタッフ(教師や事務)の他に多数の保護者ボランティアによって運営が支えられている。普通の学校と違って、有給スタッフだけではまず回らない仕組み。子供を補習校に通わせる=親も何かしら運営に協力する、という前提がある。我が家は昨年のロックダウン中に入学したが、ロックダウンが明けて実際にFace to faceの学校が始まったら、付随する様々な仕事も通常に戻ったようだ。補習校は日本の学期に合わせて4月から新学期が始まるが、そのタイミングで通常よりも少し重たい係に立候補した。

 

どれくらい重たいかと言うと、隔週の土曜日、朝9時前から午後3時過ぎまで無償労働を行う。一昨日が初めての日だった。通常のPhDの研究とは全く違う内容なので、良い気分転換になる気がした。色々な子供たちと接するのは思いのほか面白いし、日本人の保護者とたわいもないおしゃべりをする時間もなかなか良い。シフトががっちり組まれて結構忙しくなりそうだけど、日本では仕事に忙殺されすぎて全く地域貢献活動ができていなかったので、今こそそういう活動をやるときだと思った。

 

ボランティアその②

2つ目のボランティアは大学関連。所属している大学の言語学部?が翻訳のボランティアを募っていた。内容はWHO関連(おそらくコロナ関連)。専門知識がなくても良いらしく、日本語も募集言語として入っていたので応募してみた。今日の夕方にZoomで説明会があるが、Invitationのメールを見たら日本人らしき人は自分しかいなかった。うまくいくかわからないが、日本で仕事をしていたらこんなことはできないので、せっかくの機会だからトライしてみたいと思う。

 

専門分野での実績を積むための無償労働

自分の専門に関連する団体のメーリングリストにいくつか登録しているが、数か月前、ブリスベンにある大学の先生から、あるテーマに沿った事例集を発行するので事例を募集する、という案内があった。そこにはPhD学生や若手の研究者は出版実績を得るのに良い、というようなことも書かれていたので、私みたいな研究初心者でも大丈夫かな、と思ってコンタクトしてみた。

 

日本の事例を提供したいと思い、自分のPhDプロジェクトとはダイレクトに結びついてはいないが(テーマは共通しているが対象となる組織が異なる)、その先生に簡単な内容を説明したメールを送ったらOKとのこと。しばらくした後、テンプレートが送られてきたので、それに沿って原稿を作成していくことになる。最近1か月は自分のPhDプロジェクトのインタビューで忙しかったが、インタビューがひと段落して時間が少しできたので、先週からそのケーススタディのための情報を本格的に収集し始めた。関連する書籍をKindleで購入し、最初のパートの原稿作成を日本語で開始。ただ、事例として取り上げる組織に直接ヒアリングしないと作成できないパートもあるので、まず日本語で埋められるところを埋めて、後日メールで打診してみる予定。

 

OKだったら、引き続き日本語で原稿作成して、それを先方に確認してもらったのち、英訳し、英文チェックの業者に出してきれいな英文に整えてから、原稿として提出する予定。締め切りは8月とだいぶ先だと思っていたが、これらの作業を逆算して考えると、あまり時間に余裕がない。うまくいけば出版は来年とのこと。自分の投稿論文はまだ書けていないが、先にケーススタディの書籍出版の方がうまくいくかもしれない(うまくいくと良いなと思う)。

 

有給の仕事

1か月ほど前、ひょんなことからスポットコンサルの依頼があった。その依頼内容自体は私の専門と少し違ったので断ったが、そういうスポットコンサルのマッチングをしている業者から登録を進められたので登録してみた。そうしたら早速依頼が来て、昨日初めての個人としてのコンサルを実施した。単価はかなり高い。普通のアルバイトの10倍以上の時給となる。

 

電話でつないで依頼主と話をしたが、話をしているうちに、先方の知りたいことと私の知っていることはダイレクトにリンクしておらず、大変申し訳ないという気持ちになった。しかし、終盤になってなぜか追加依頼をしてくれた。流れで断りづらく、3時間分の追加を受けてしまった。単価は前回と一緒。トータルで4時間のコンサルティング、仲介業者の手数料を引いても数万円を得ることになる。

 

でもこれはもうやらない方が良いかな、という気になった。自分の経験やスキルは公開しているので、それに合わせて依頼が来るが、依頼主の求めていることにピンポイントで貢献できないと私は申し訳ない気持ちになるし、何よりも責任やプレッシャーを感じて日本の会社で仕事をしていた頃の気分に一気に引き戻される。せっかくオーストラリアで学生生活をエンジョイしているのに、数万円のために日本でやっていたような仕事を今やらなくても良いんじゃないか、と思うようになった。自分の経験や知識にお金を払ってくれる人がいるのはありがたいが、そのことが分かっただけで充分な気がする。今回の仕事が終わったら、一旦やめようと思う。

 

そんなこんなで、色々と手を出しているが、出しすぎるのも良くないということで、有給の仕事はとりあえず辞める。本業である研究の進捗に支障が出てはいけない。でも今日指導教官とコーディングのレビューをしたが、先生曰く私は進み具合が早いらしい。周りには色々掛け持ちで研究している学生が多いから(teaching assistant やresearch assistant、パートタイムでの仕事など)そう見えるのかもしれない。そんな言葉をもらって、ちょっと余裕を感じてしまった自分がいる。でも私は英語でのライティングにものすごく時間がかかるので、余裕ぶっていると後で痛い目に合う。早め早めに進めるに越したことはないので、ちゃんと研究の方も気を引き締めて進めていく。

 

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秋になって毎日落ち葉の掃除が必要な裏庭のアプリコットの木。冬になるとすべて葉っぱがなくなってしまうのは寂しいけど、季節感があって良いかもしれない