40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。

博士課程1年目の審査終了!

先ほど博士課程の1年目の審査会が終了。一応大きな問題なく終わったのでホッとしている。 審査については簡単に過去の記事に書いているが、今日がその当日だった。

 

fourty.hatenablog.com

 

もちろんZoomでの開催。パネリストの1人がイギリスの大学の先生なので、時差の関係で少し早めのスタート。朝8時45分からとなった。こんな大事なときなのに先週引っ越しをしたので家のインターネットが使えず、大学に来る羽目に(といっても大学の方が回線が安定しているので結局大学で良かった)。大学の図書館は学期が始まってからは朝8時から夜12時までやっている。こちらの大学生は本当によく勉強する。今回は図書館の中にあるDiscussion roomという個室を使わせてもらうことに。通常なら予約制なのだが、コロナのせいで予約制ではなく早い者勝ちになっている。まずは昨日試しに8時半前に来てみたら、最後の1室がようやく確保できた。今日はもっと早く来ないといけないということが分かった。

 

私の朝のお勤めは子供たちの弁当作り。いつもは7時頃朝食をとった後に作るが、今日はそれでは間に合わないので、5時45分から弁当作りを頑張った。メルボルンは秋というか冬の様子で朝は特に寒くて暗い。この1週間は朝ガスストーブをつけている。弁当作りが終わって少し時間があったので、1回だけ家でプレゼンの練習をしていたら、家族が起きてきたので終了。

 

7時40分ごろに家を出るつもりが少し遅れて8時前。図書館についたのは8時15分。競歩のスピードでDiscussion roomのエリアに向かったら空室は残り2つだった。そのうちの一つにさっと入室。私が競歩で抜かした女の子が最後の1つを確保していた。ぎりぎりセーフ。開始まで30分の余裕があるので、図書館の中のカフェでコーヒーを買った。その後、準備したQ&Aをプリンターで印刷していたら、新入生らしき女の子からプリンターの使い方を聞かれてしまった。簡単に教えてすぐその場を退散(今日は時間がなく丁寧に教えてあげられなくてちょっと罪悪感)。図書館でプリンターの使い方を聞かれるのは初めてではない。他にもペンを貸してくれとか、道を聞かれたりとか、駅で切符の買い方を聞かれたりとか、オーストラリアにいても日本にいても、他人から何やら聞かれることが多い。

 

話はそれたが、時間よりも少し早めにZoomに入室したら、Chairの先生と学部がアサインしたパネリストの先生がすでに入室していた。早い!審査会は人文学系のすべてのHDR学生が自由に参加できるようになっており、私のプレゼンは同じPhD部屋の中国人の学生(政治学)と日本に住んでいたことがあるというガーナ人のPhD学生(この人もたまたま政治学)が聞きに来てくれていた。他には正指導教官と副指導教官も。イギリスのパネリストの先生の参加が遅れて少し心配したが、5分の遅れで無事スタート。

 

プレゼンは台本を準備していたので滞りなく進んだ。その後、恐れていたQ&A。イギリスのパネリストの先生からコメントと質問。簡単に言うと、①この研究をやって何か重要なことがわかるのか?それは誰のためになるのか? ②研究でAの点をどこまで明らかにするつもりか? の2点。①は想定していた質問だったので、一応答えることができたような気がするが、英語が不自由なのでちゃんと伝わったかどうか、一抹の不安が残る。②については本来解き明かしたいことをPhDの期間内にどこまでできるかはわからないが、こういう視点を持ちながら、このくらいのところまでは掘り下げたい、といった回答にしておいた。

 

私のテーマは間口が広くて、事象を表面的にさらうことができる内容でもあるため、学術的な人達からはそれが一種のリスクに見えるようだ。表面的な事だけをなぞっても何も新しいことは分からないよ、誰のためにもならないような研究をしないようにね、ということをリマインドしてくれたのだと思う。でもこれが結構難しい。もともとこのテーマは自分の実務経験の中から出てきたことなので、現実世界に根差している。でもそこに力点を置くと、多くのAssumptionが入ってきてしまい、研究として成り立たないことは昨年学んだ。それでは純粋な研究としての質に力点を置くと、どんどん理論的な方向に進んでしまい、今度はこれが分かったとして何になるのか?という疑問を持たれてしまう。私は自分の経験からPracticalな視点に重心を置きがちなので、Theoreticalな貢献を意識し続けることが研究のバランス的にはちょうどよいだろう、と今は思っている。

 

もう一人の学部がアサインしたパネリストの先生は社会学の人。専門分野の人よりも専門外の人からの質問の方が怖い。そう思っていたら「社会学者として質問するけど…」と始まって、社会学の基礎をちゃんと学んでいない私は焦った。質問は私がリサーチデザインで触れたInterpretivismに関することで、Interpritivismがこの研究の理論的フレームワークにどのように関係しているのか?(もっとちゃんと関連付ける必要があるのでは?)という、質問というよりも指摘だった。これは正直に「Interpretivismについては、少し本で読んだだけで知識が足りないと感じています。Interpretivismについてもっと勉強して、理論的フレームワークとのつながりを明らかにした上で論文に反映させたいと思います。アドバイスをいただき、ありがとうございます」という回答にしておいた。

 

あとその先生からは、私がプレゼンで使った”Wicked problems”というフレーズにひっかけて、あなた自身がもっと”Wicked”になることをお勧めする、みたいな洒落が利いたことを言われたけど、あまり意味がよくわからなかった。Criticalになれ、ということですか?と聞いてみたが、そういうことではないらしい。しかもその後、Chairからは、でもToo wickedにならないようにね、みたいなことも言われて、自分が言い始めたことなのに、ネイティブの言葉遊び?についていけなくなってしまった。今度指導教官にどういう解釈をしたらよいのか聞いてみようと思う。

Wicked definition and meaning | Collins English Dictionary

 

上手いこと時間切れになったので、ここでQ&Aは終了。2人のパネリストの先生には上記の他にも何か言われた気がするが、100%理解できた自信はない。感覚的には65~70%くらい。いつも指導教官の先生とZoomミーティングするときは、ほぼ100%理解できるが、今回自分の英語力がまだまだであることも改めて思い知った。イギリス人の先生はそもそもアクセントが普段聞いている英語と異なること(とはいえ、そんなに強いアクセントではなく、ゆっくり目に話してくれたような気がするが)、初めて話す人であることというハードルの他に、インターネットの接続のせいか、音声の質があまりよくなくて聞き取りに苦労した。学部がアサインした社会学の先生は使う言葉が難しくて、内容を理解するのが大変だった。

 

プレゼンとQAも含めて、このミーティングは以下のように進んだ。

①プレゼンとQ&A

【参加者】Chair、パネリスト(2名)、指導教官(2名)、学生(私)、任意の聴講者

【内容】学生がプレゼンして、その内容についてパネリストから質問やコメントを受ける

 

②学生の研究態度についての確認

【参加者】Chair、パネリスト(2名)、指導教官(2名)※学生は退室

【内容】指導教官からChairに対して学生の研究態度についての報告

 

③指導教官の指導状況についての確認

【参加者】Chair、パネリスト(2名)、学生(私)※指導教官は退室

【内容】Chairから学生に対して、指導教官の指導状況についての確認(不満や懸念点がないかどうか)

 

④評価シートの作成と合意

【参加者】Chair、パネリスト(2名)、指導教官(2名)※学生は退室

【内容】評価シート(いくつかの項目でスコア付けされているらしい)に則り、学生の進捗について評価、合意形成

 

⑤ラップアップ

【参加者】Chair、パネリスト(2名)、指導教官(2名)、学生(私)

【内容】評価結果について簡単に説明を受ける

 

これを1時間の間に済ませるので、プレゼンの後はZoomに入ったり出たりの繰り返し。⑤で評価結果を知らせてもらえることは知らなかったので「あなたはパスしました」と言われたとき、「もう結果が出たんですか?」と聞いてしまった。私の英語の聞き間違いでなければ、無事にパスした模様。ただパスにもいくつか段階があって、文句なしのパス、Minor revisionのパス、Major revisionのパスがあるようなので、どれにあたっているのかは、後日正式な文書で確認することになる。とりあえず出直しは不要のようで安心した。

 

良かったのはChairの人から「僕の専門分野とは違うけど、君のレポートとプレゼンはとても興味深いと思ったし、楽しませてもらったよ」と言ってもらえたこと。もちろんリップサービスもあるだろうけど、違う分野の人に自分の研究テーマを知ってもらえる機会となるのは、この審査会の副産物の一つだと思う。とにかく1年目の審査はこのようにして終わった。来年はデータを引っ提げて報告するので、濃い内容になるはず。いよいよ実際の研究に着手する準備が整ったので、これから1年また頑張ろうと気を新たにした。

 

(追記)

記事を書いた後、指導教官からお疲れ様メールが送られてきた。そこには、M (Chairの先生)said you were confirmed with flying colours. とあった。Flying colours??調べてみると、coloursは色ではなくて旗のことで、with flying coloursというのは、良く出来た、といったような意味らしい。英語をもう少し真面目に勉強しないと話についていけない。

 

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この赤い部屋で1年目の審査会に臨んだ