40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。2023年3月帰国、フルタイムで働きながら博論執筆中。

8か月ぶりのオフィス

先週の木曜日だか金曜日に学部事務局からメールがあり、スタッフとHDR学生(MPhil, PhD)はオフィスに戻っても良いとのこと。ソーシャルディスタンスの確保や消毒、マスクの着用は継続した上で。オフィスはいつからクローズしていたかな、と自分のブログの記事を遡ると4月初に閉鎖されたようなので実に8か月ぶりになる。この8か月間、95%くらいは自宅、残り5%くらいは図書館の机で作業してきたが、やっと自分のデスクに戻ることができるということで嬉しかった。

 

fourty.hatenablog.com

 

ちなみにVictoria州全体としては、オフィスワークは通常の25%の人数まで戻って良いことになっていて、1月初旬からその割合が50%まで上がることが決まっている。逆に言えば、まだ普通のオフィスでは75%以上の人が在宅勤務をしているということ。1か月以上新規感染者が出ておらず、もちろんアクティブケースもゼロで推移していることから、Covid-19のウィルスはVictoria州内には現時点で存在していないと考えられるが、海外からの帰国者の受け入れを再開したということで、市中に持ち込まれて感染が拡がることを恐れたリスク管理の一環なんだろう。

 

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各部屋に2セットずつハンドサニタイザーとアルコールワイプが置かれていた。まだ誰も使っていなかったので私が開封した。

今週、月曜と火曜はオンラインで学会を聴講していたので大学には登校せず、水曜日に初めて行ってみた。1階でエレベーターを待っていたら、人が一人来た。ちょうどエレベーターのドアが開いたので2人で乗り込む(普段10人くらい乗れる大きなエレベーターだが、Covid normal下においては定員2名となっていた)。 その人は私のデスクがある7Fのボタンを押したので、顔を見てみたら同じ部屋の人だった。私がその部屋で初めて話した人。イラン人のPhD学生で専攻は文学だったような。英語がとても流暢なので、最初はオーストラリア人かと思った。確かPhD3年目の古株。HDRのオフィスは人文学系の様々な学部の人がごちゃ混ぜになっているので、必ずしも社会学部の人だけがいるわけではない。

 

めちゃくちゃ久しぶりだったので、こちらから「Hello」と声を掛けたらちょっとびっくりしていた。マスクをしているから顔がほとんど分からないもんね。「私たち、一緒の部屋ですよね?」と話しかけてみたら、「ああ、〇〇(私の名前)だね。元気?」と聞いてきた。数回話しただけなのに私の名前を憶えているなんてすごいな、と思ったら、本人が「君の名前を憶えていて僕はGoodだね。日本のこと好きだから」と言っていた。名前覚えてもらえていると嬉しい。確か2月ごろに話した時、東京ゲームショーに行ってみたいんだ、と言っていた。また、博士号を取得したら、オーストラリアか日本の大学で働きたいとも。私が話すイラン人はなぜか日本好きの人が多い。申し訳ないけど、私はその人の名前は憶えていなくて、今更聞けなかった。。でも久しぶりに、大学の人と対面で会話できて嬉しかった。

 

8か月ぶりの自分の机をアルコールワイプで拭いたら、ホコリだけでなく、干からびたコバエの死骸もあって、本当に長い間ここにきていなかったんだな、と思い出す。当初、オフィスが閉鎖されるのはせいぜい1か月くらいだろう、と思って、開封したビスケットを引き出しにしまっていたけど、密閉空間にあったとはいえ、さすがに食べる気がしないのでごみ箱に捨てた。その後、フロア共有のキッチンでコップを洗って、使われていないコーヒーメーカーの掃除をした。キャビネットの中を探したら、新品のコーヒー豆があったので開封*1、コーヒーメーカーに補充。コーヒーを入れてみたけど、あまり味がよくない。多分機械に何度か水を通さないといけないのだろう。本当に誰も来ていなかったんだ、ということがわかる。いろんなものが干からびていて、時間が止まったままのような不思議な感じ。

 

久しぶりに自分のデスクで作業してみたら、やっぱり家よりも図書館よりもずっと集中できる。水曜日は結局、そのイラン人の留学生と私の2人だけだった。そして木曜日は自宅で作業し、金曜日に再び大学に行ってみた。午前中は一人だったけど、昼前に知らない人がやってきて、私の真後ろの席に座った。見た目オタクっぽい白人男性だったが、向こうから何も言ってこないので「Hi, have I met you before?」と話しかけてみた。英語の感じからおそらくオーストラリア人。「3月からこのデスクを使うようになったけどすぐにロックダウンになったから、今日が会うのが初めてだと思う」との返事。簡単に自己紹介。名前はトムと言うらしい。その人も文学部のようだった。

 

全体で20人くらい入る部屋の中で2人、背中合わせに一か所に固まって作業をしていたので、なんとなく相手が立てる音が気になるかなと思ったが、その人は恐ろしく静かだった。背を向けているので何をしているのか見えないが、タイピングの音すらほとんどしないし、こんなに静かな人がいるんだ、というくらい物音を立てない。文学部だけに本を読んでいるのかな、と思ったが、トイレに行くときに見てみたらパソコンは開いているようだった。静かなことに越したことはないが、図書館で作業をしていた時は、ガサガサお菓子を食べたり、おしゃべりしたり、タイピングの音がやたらとうるさかったり、イヤホンから大音量で音楽が漏れていたり、ひどいときは大声で電話をし始めたり、というガヤガヤした環境に囲まれていたので、なんとなく不思議な感じ。20歳前後のエネルギーが有り余る学部生と博士課程の学生は違うのか、単にその人が例外的なのか。

 

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ランチはキャンパス内にあるお気に入りのメキシコ料理のファーストフードチェーン店で。Burritoとポテトとドリンクのセットで$10とお手頃。ハンバーガーよりもヘルシーでおいしい。Covid normalになってやっと店内の席が開放された。

これからしばらく大学通いをしようかな、と思っているけど、実は小学校が来週金曜日に終わってしまい、それから1月末まで夏休み。。さすがに1月まるまる子供が家にいるのもつらい。自分たちの仕事時間を確保するためと、子供たちが英語に慣れるためにも学童保育に週に2~3日行かせようかな、と検討中。これが1日、子供1人当たりで80ドル~100ドル、つまり2人を1日行かせると200ドル弱かかる…毎日行くと1週間で1,000ドル、1か月で4,000ドルかかる。生活費よりも高い!日本にいたときは学童保育は無料でとても助かっていた*2

 

こちらの学童保育も国民や永住権を持つ外国人で収入が低い人は1日預けても10ドル程度と低額だが、収入が一定以上ある人や永住権を持たない外国人(我々のこと)はフルで料金がかかる。学童保育と捉えるのではなく、英会話学校(習い事)に行かせていると思えば高くはないかな。でも小学校の学費は無料だから、それにはずいぶん助かっている*3

 

話がそれてきたのでここで今日は終わり。ロックダウンが解除されてCovid normalになり、色々な変化が起きている。記録に残しておきたいことは他にもあるが、また機会を改めて書く。

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キャンパス内の小さな森。悶々としたときにはこういう場所があると助かる。



 

 

*1:人文系全体の費用で各キッチンに無料のコーヒー、紅茶、クッキーが定期的に与えられる。

*2:自治体によって全然違うけど、私が住んでいた区では親が働いていてもいなくても学童保育に無料で通うことができるいう天国のようなシステムだった。しかも学校の施設を借りて行うので子供たちは移動しなくても良くて最高。

*3:以前の記事にも書いたが、子供自身に学生ビザを取らせて親が帯同者として小学校留学をする場合は、公立でも年間100万円程度の学費を支払わなければならないし、帯同者として行く親は仕事ができない。