40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。2023年3月帰国、フルタイムで働きながら博論執筆中。

渡豪して6か月 振り返り

昨日は渡豪して6か月の節目だった。自分のブログで無理やりポジティブを装う必要はないので、一言で正直な感想を書いてみると「残念」。もちろん良いこともあったけど、当初想定したような留学生活、海外生活とはずいぶん異なる。1月中旬に渡豪して、最初の2か月は新生活のセットアップや社会人生活から大学生に戻るためのシフト期間だった。ようやくこれから、という3月下旬ごろからコロナが蔓延してロックダウン。先の見えないロックダウンが徐々に緩和されてきたのが5月中旬から下旬。そして今月初めからコロナ第2波で再びロックダウン… 1か月前の自分が見ていた未来はもう少し明るかった。

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当初想定していたことと今のギャップについて、一度吐き出しておく。

博士課程留学

当初想定社会学を学ぶ他のPhD学生と横のつながりができ、新たな人脈の中で刺激を受けながら研究している。

現実:2月下旬~3月上旬に同じ部屋にいる数人と話をした(その中には、もっと話したい思うような興味深いバックグラウンドの人や仲良くなれそうな人もいた)。3月下旬から自宅学習になり、大学関係者とは誰とも会っていない。本来なら横のつながりができる集合研修のようなものや各ワークショップなどはすべてZoom化され、バーチャルなつながり。顔も名前も覚えられない。覚えてもらえない。友人と呼べる人は一人もいない。

 

当初想定:英語の会話に慣れてきている。

現実:英語の会話は2週間に1度、1時間の指導教官との定例ミーティングと、2か月に2回ある学科のReading Groupのみ。英会話力は日本にいたときとあまり変わらない。だからといって、自らオンライン英会話をやろうという気持ちまでにはなっていない(英会話力を伸ばすのは留学の目的ではなく副産物だと思っているからかもしれない)。

 

研究の進捗については、まったく当初から想像つかないものだったので、今の状況とのギャップを測ることができない。ロックダウンがなければ、研究時間をより多く確保でき、もう少し先に進めていたのだろうと思うが、どういった姿が本来あるべき姿なのかがわからないので、何とも言えない。指導教官のアドバイスをもらいながら、目の前にある自分ができることを進めてきたというのが事実。

 

家族での海外生活

当初想定:子供たちは現地公立校(英語と日本語のバイリンガルスクール)に通っている。3か月から6か月くらいで、英語に抵抗がなくなってくるらしい。

現実:6か月のうち学校に登校できたのは2か月だけ。あとの4か月は自宅学習で、学校の先生ではなく親から勉強を教わっている。多少友達もできたが、自宅に引きこもる生活の方が長い。それでも英語は日本にいるときよりできている。

 

当初想定:小学校の休み期間にオーストラリア国内を旅行。週末には州内の観光地をいくつかめぐる。冬休みにはアデレードに住む友人家族と中間地点でキャンプする計画。

現実:3月下旬からロックダウンに入ったので、ほとんどどこにも行けていない。友人家族とはFace timeを使って話をした。

 

当初想定:3月下旬に長男の友達が家族連れで、4月には私の両親がメルボルンに遊びに来てくれる計画。

現実:両方ともキャンセル。

 

ここまで書いて読み直してみたら、なんだか悲しくなってきた。コロナのことを無理やり前向きにとらえる必要なんてないし、自分に嘘ついてまでポジティブを装う必要はないが、かといってネガティブなことばかりを考えていても先に進めない。次にまだよかったことを書き出してみる。

 

博士課程留学

先行研究レビューのファーストドラフトを一通り書いた

コースを始めた当初の2月に指導教官からは、まったくこの分野の研究経験がない自分は、まずリーディングから始めて6か月後にLiterature reviewのドラフトを仕上げるように、というアドバイスをもらっていた。それを何とか終えることができそう。今、3つのセクションで合計2万ワード超を書いた状態(これをファーストドラフトと呼ぶ)で、最後のセクションを2日前に指導教官に提出した。指導教官からは、これらを整理して1万5千ワードくらいに収めよう、と言われている。それを今月末までに終わらせる予定。

 

研究のアイディアが動き始めた

PhDコースに申し込む際にResearch proposalが必要なので、日本にいるときに書いて提出したものがある。しかしそれはあくまで仮のものであり、今Literature reviewを一通りやってみて、もう少し具体的なアイディアが浮かんできたり、計画を立てられそうな状況になってきた。この先、具体的な研究の内容を詰めていく。

 

オンラインの研究会やWebinarに参加できる

コロナのせいで様々なカンファレンスや研究会が中止や延期になっているが、一方でオンライン化されているものもあり、そのおかげで無料化されたものや録画配信されているものもある。わざわざ飛行機に乗って出かけなくても手軽に参加できるものが増えたと捉えれば多少ポジティブかもしれない。ずっとこのようでは困るが、この期間を使ってオンラインの研究会やWebinarを積極的に受けることもできる。

 

家族での海外生活

家族が皆健康

これが一番大事。ほとんど外出しないせいで、コロナだけでなくインフルやら他の風邪にもかからない。今後も各自がストレスから自爆するようなことがないように気を付ける。

 

家族(特に子供)との時間が密

これは良いことだけでもないが…東京で働いていた時は自分に時間的、精神的な余裕がなさ過ぎて子供の成長をじっくりと見ることができなかった。オーストラリアに来て家族と過ごす時間が増え、なおかつロックダウン生活で濃度も濃くなっているのは、後々振り返ってみると貴重だったと思えるだろう(現在進行形だとしんどいこともあるので複雑だが)。

 

生活費には困っていない

コロナで多数の人が生活費に困っている中、自分は引き続き2週間に一度、大学から振り込まれる生活費(奨学金)で暮らしている。奨学金により授業料も全額免除されているので、大学のリソースをフルで使えていない現在も、感謝は言っても文句を言う立場にはいない(もし自腹だったら多少なりとも不満を感じていると思う)。夫は日本のクライアントと引き続き仕事をしているが、あまりコロナの影響はない模様。このような状況下で、お金に不安がない状態で生活できることは大変ありがたい。

 

 

ここまで書いてみて、家族が健康で、生活費に困っていない、ということ自体がとても幸せなことだと改めて気づいた。いろいろと愚痴ったけど、全然悪くないね。このことをちゃんと認識した上で、できることを少しずつしていけば良い。

 

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ロックダウン第2章が始まる数時間前の夕方、スケボーで遊び納めする長男