40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。2023年3月帰国、フルタイムで働きながら博論執筆中。

テレワークの生産性は状況で異なる

最近、在宅勤務を含むテレワーク/リモートワークの生産性についての調査記事を目にするようになった。日本では緊急事態宣言が解除され始め、有事から平時に戻っていくことが見えてきたせいなんだろう。テレワークの生産性に関する情報の中で、自分が共感したものもあれば、データのとり方や見せ方がいまいちだな、と思うものがあった。

 

まず、いまいちだな、と思ったのは以下の2つ。何がいまいちかというと、テレワークや在宅勤務をひとくくりにして、属人的に論じていること。両記事ともコロナ後のことを書きたいようだが、肝心のデータが異常時(有事のピーク)であるコロナ最中を前提に聞いており、コロナ後を考える際には不適切な気がした。

 

f:id:aruimk:20200525124408p:plain

産経新聞記事に掲載されていた日本生産性本部のデータ

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200524-00000523-san-bus_all

 

f:id:aruimk:20200525124534p:plain

別の記事のデータ

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200519-00173872-bcn-sci

 

両記事とも、テレワークで生産性が下がった、という人がかなりのボリュームいる。でもこれは有事の時のテレワークだということに注意したい。一言テレワークと言っても、各人が置かれている状況がかなり多様なはず。そのことを考慮しないで、データを丸っと集計してしまっただけでは、あまり何も見えてこない。ふーん、良いという人も悪いという人もいるよね、という感想しか残らない。むしろ、効率が下がった人は、半数くらいの人が効率が上がっている事実を知って、自分のやり方が悪いのでは、と自分を責めてしまうかもしれない。また、意外と効率悪い人いるから、テレワークってやっぱり良くないね、と単純に思う人もいるかもしれない(もしくは逆も)。

 

一方、共感したのは以下のデータ。上2つの単純な集計とは異なり、2軸で整理した上、%も感覚ではなくてきちんとデータを取っている(詳しくは下の動画に説明あり)。

f:id:aruimk:20200525125124p:plain

ThinkLabの調査


【最新】落合陽一「リモートワーク疲れの正体を考える」(期間限定ロングダイジェスト)

 

内容はYoutubeを見ればわかるのでここには詳しく書かないが、私は自分自身の経験から、テレワークの生産性には個人の性格など属人的なことよりも環境が与える影響の方が大きいのでは、と思っていたので、この動画を見て納得感があった。こういう風に置かれた状況別に生産性を可視化してくれるとすっきりする。こういうデータがあって初めてコロナ後のことをちゃんと議論できるのではないかな。

 

私自身の経験で言うと、今の状況は右下の一番生産性が低いゾーン(25~40%)にいる。でも子供の学校が始まれば、左下のゾーン(46~56%)に動けるし、今自宅で使っているIKEAのダイニングチェアをちゃんとしたオフィスチェアにすればその上の最高ゾーン(65~85%)に到達する(夫も在宅勤務だが、それぞれ独立した仕事部屋があるので単身と状況は変わらない)。日本で会社員をしていた平時にも、たまに在宅勤務をしていたが、その時は左下のゾーンだった。海外出張中に誰の邪魔も入らず、静かなホテルの部屋で仕事するときなんかは、時差ボケというハンデはあるものの左上のゾーンで仕事できていたと感じる。

 

とにかく今右下のゾーンにいる人にアンケートとってもネガティブな答えしか返ってこないはずで、それを根拠にやっぱりテレワークは難しい、という結論を導くのはミスリードではないか。今右下にいる人も子供の学校や保育園が始まれば、もう少しまともな状況でテレワークができるはずである。と、自分に言い聞かせて、あと少しの期間、子供付きの在宅ワークを頑張ろう、と思った。