40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。

英語で論文を書くこと

今週の大学は、月曜日だけ対面の授業(学部生向け)があった。火曜日以降は再びオンライン授業に切り替わった。月曜日だけ幻のように学生がキャンパスにあふれかえり、20歳前後の学生たちが「久しぶりー、元気だった?」と挨拶しあったり、友人を紹介しあったりして、ポジティブなエネルギーに満ちていた。キャンパス内のベンチや芝生が人であふれた。自分が20歳のころにブリスベンの大学に交換留学していたことを思い出した。キャンパス内を歩いているだけで、なぜかこちらまで元気になる。若いということは、それだけで特別なことなんだな、と思った。

 

今のところ、私が所属する大学には感染者が出ていない。スタッフやHDR学生は登校可。大学が2月早々に判断を下し、新学期の開始を2週間後ろ倒しにした上、Week 1の先週はすべてオンライン授業にしたことが良かったのかもしれない。そしてWeek2の今週から対面授業開始のはずだったが、先週後半から急遽オーストラリア国内で毎日のように施策が打ち出され(どんどん厳しくなっていく)、再びオンライン授業になってしまった。このため、火曜日からまた夏休み中のような閑散としたキャンパスに戻った。

 

今週はライティングの本当に最初の一歩を進めた。前回指導教官からもらったアドバイスをもとに、Literature Reviewの構造を再構成。その構成をベースに関連する論文の論点を整理していった。このノートでは日本語を解禁した。まだまだ日本語脳なので、ものを考えて整理するためには、英語よりも日本語の方がやりやすい。Wordで6ページ分くらいのノートがたまったところで、最初のパートをライティングしてみることにした。

 

ライティングは別のWordファイルに、最初から英語で。ベースとなるノートを見ながら、英語で文章を組み立てていく。この作業はすごく疲れるが、やり始めて楽しいと思う自分もいた。母国語の日本語なら書きながら考えることもできるが、英語の場合、考えたことを一文一文、文章に組み立てていく作業になる。わからない単語はオンラインの和英辞典で調べ、その単語をさらに英英辞典や類語辞典(Thesaurus)で調べて言いたいこととあっているかどうか確認する、といった作業をしているとものすごく時間がかかる。たくさん書いたなあ、と思って見返してみると、ページの半分も埋まっていなくてびっくりした。

 

日本語で文章を書く10倍以上時間がかかっている。段々慣れてくるはずなので、今はあまり気にしていない。トレーニングみたいなもので、継続していくことでだんだん上達するはず。でも良いところもある。それは言葉が上滑りしないこと。自分が本当に表したいことが何なのかを、自分の中で100%確かにしてからじゃないと英語では書けない。金曜日の時点で、1,000 wordと少し書いた。博士論文は80,000 words以内、と決められている。分量で言うと80分の1進んだ。

 

修士の時は半年のリサーチプロジェクトで、確かボリュームは15,000 wordsだった。久しぶりに目を通してみたが、自分が本当にこんなにいろいろ書いたのかな、という感じ。テーマは、当時通っていた大学がある南オーストラリア州の2つの自治体の環境政策。一般消費者へのアンケート、2つの自治体の首長、州の環境省の役人、関連企業とNGOなど関係者へのインタビューをして、背景課題とオーストラリアの国内政策の整理、インタビューとアンケート結果のまとめ、それらから導き出される今後の政策オプションの妥当性の比較、最後自分としての政策提言という流れで構成されていた。政策提言はラディカルな内容になっていたけど、調査結果から導き出すと必然的にそうなった。

 

そのテーマはしばらく話題にならなかったが、ここ数年で世界的にかなり大きな注目を浴びるようになり、自分が提言した内容と同じことが、昨年実際にオーストラリア国内で決定、施行された。私は修士修了後にすぐに帰国して就職したため、このときの研究の内容はどこにも発表されていない(調査に協力してもらった地元のNGOのニュースレターに載せてもらったくらい)。当時、頑張った結果に対して良い評価をもらえたことがうれしかったけど、研究の結果と同じことが15年後に社会で実現されたことの方が自分にとって価値がある。

 

今、この時よりもさらに壮大なテーマに挑んでいる。今度は半年ではなくて3年間の研究期間、15,000 wordsではなくて80,000 wordsの論文。今はこれまで主にアメリカとヨーロッパの学者たちが積み上げてきた理論を整理している。おそらく2年目の来年は実社会で起きていることを調べることになる。そして、理論と実社会の出来事を両方合わせて結論をまとめる。まだどんな世界が見えるのかわからない。でもぼんやりとした仮説は持っている。英語で文章を書くことは苦行だな、日本語だったらもっとスイスイできるのに、と思うこともあるけど、考え抜くこと、言葉を練ることを避けて通れないのは、研究にとっては良いことなんだ、と思って進めていく。

f:id:aruimk:20200321085528j:plain

O-Weekができなかったので、今週改めて大学がO-Festとして歓迎イベントをする予定だったのもキャンセルに…テントとのぼりが準備され、翌日撤去された

 

※ちょうど、はてなのお題が英語だったことに気づいた。タイムリーなので参加。

アルク #トーキングマラソン 特別お題キャンペーン「わたしと英語」



おまけ:よく使うサイト

英和、和英辞典としては15年以上アルクさんにお世話になっている

www.alc.co.jp

英英辞典と類語辞典は最近こちらを使っている

https://www.dictionary.com/

https://www.thesaurus.com/