40代からの博士課程留学

41歳でオーストラリア・メルボルンで博士課程留学(社会学)を始めた自分、現地小学校に通う子供のこと、家族での海外生活などを綴る。2023年3月帰国、フルタイムで働きながら博論執筆中。

奨学金を受給するには

この度、40代の私が無事に博士課程留学に関して、大学から給付型の奨学金を受給(返済不要)できることになったので、私がどういった条件で申請して奨学金獲得まで至ったのかについて書いてみる。奨学金の結果を受領した際のブログはこちら。

fourty.hatenablog.com

 

大学からもらえることになった奨学金のトータル金額の概算※は以下。学費は実際には支払わない形(免除)、生活費は2週間に一度、口座振り込みとなる。

※学費及び生活費の基準額は毎年少しずつ上がるため、それに伴い奨学金も上がる。以下は2020年ベースでの算出。またPhDコースは通常3年3か月、最長プラス6か月延長可能で、奨学金受給者は延長分の奨学金も支払われる(正当な理由がある場合)。

総額 A$211,765(約1,500~1,600万円)

※6か月延長した場合は+A$ 31,850(+220~250万円)で最大約1,800万円(3年9か月分)

 学費:A$34,700×3.25年=A$112,775

 生活費:A$29,000×3.25年=A$94,250 ※1人分としては十分な金額、しかし家族4人分としては足りない

 渡航費:A$1,500 (海外からの場合)

 健康保険:A$3,240 ※OSHC Single 57か月分

 

前提条件として私が行くことになる大学とコース、奨学金の種類、申請手続き、申請者(自分)の状況についてまとめる。

 

1.大学とコース

大学はオーストラリアのGroup of Eight (Go8)という大学連盟の一つ。Go8についてはこちら。学部は社会学部(Faculty of Arts, School of Social Sciences)で、コースは博士課程(Doctor of Philosophy)。

 

2.奨学金の種類と申請手続き

給付型奨学金にはいろいろな種類があるが、大きく分けると、政府からのもの、大学からのもの、一般企業や財団からのものに分けられると思う。

まず、政府からのもので有名なのは文科省のトビタテ!という制度。若者向けなので年齢でアウト(30歳までなので全くかすりもしない…)。狭き門だがオーストラリアへの留学に関して有名なオーストラリア政府からのエンデバー奨学金は2019年に廃止。政府系はトビタテ!のように若者を海外に向かわせようという目的のものと、一部の優秀な研究者に対して与えられるものがあるようだが、どちらにも当てはまらないため却下。

次に、大学からのもの。大学により現地学生向け、留学生向けに様々な種類の奨学金が用意されており、枠や難易度も都度異なるように思う。良い点は申請が簡単な点。私の大学の場合は、特別な書類は特に準備する必要がなく、大学院への申請時に、奨学金にも合わせて応募する」というチェックを入れるだけで完了奨学金を申請しない場合と唯一異なるのは、申請期日が早めに設定されている、ということくらい。

最後に、一般企業や財団が募集している奨学金。ネットで検索するといろいろな奨学金があることがわかるが、条件を一つ一つ調べていく労力がかけられなかったことと別途応募書類を準備する気力がなかったので見送った。

ちなみに、修士の留学の際には、ロータリー財団の国際親善奨学金を受給しており、その時には所定の書式の申請書と小論文を提出し、書面審査後に面接を経て合格した。たまたま今年のお盆に実家に帰って昔の書類を整理していた時に、18年前に提出したロータリーへの申請書と小論文が見つかった。読んでみたけど、環境問題を解決したいという熱意、そのために今後必要になるであろうアプローチ(自分が学部で学んだ理系的なアプローチだけでなく、社会学的な観点も必要になる点)、奨学金を受給することの必要性などが書かれており、熱い思いにあふれている。今、40歳の視点で客観的に見ると、この若者に奨学金を与えて勉強させてやろう、という気になった。ロータリーの人たちもそう思ってくれたのかな、と思う。改めて感謝。

 

3.申請者(自分)の状況

奨学金の審査条件と照らした自分の状況について簡単にまとめる。記号は奨学金条件に対する自己評価。

学歴:〇 Go8の別の大学でコースワーク修士を修了(学部は日本の大学)

成績 GPA 6.667/7(修士)、修論のスコアは90点(High Distinction)成績表を見てみると何とかメダルというのを授与されていたようだ(今になって気が付いた)

研究経験:〇 修論(0.5年)、卒論(1.5年、分野違い) 社会人になってからはゼロ

出版実績: △ 査読なしの共著論文1件(10年以上前に国連機関でインターンシップをした時のもの)

IELTS:△ Overall 7.0(この大学の社会学部の最低入学ライン)

研究計画書:◎ 2,000ワード程度のものを作成、指導教官候補の先生から2回にわたるアドバイスを受けて書き直したもので提出

推薦状:不明 2名分(職場の上司、修士時代の指導教官)の連絡先を提出したがどういったやり取りがあったのかわからない

 

これらを俯瞰してみると、やはり効いたのはGPAのスコアの良さと研究計画書のクオリティだったのでは、と思う。奨学金に必要なGPAはどこにも明記されていないが、大学の奨学金審査に関する書面には以下の記載があった。(公開されている内容からの抜粋)

The GRC will award scholarships based on an applicant’s academic record, research output and prior research experience.

In its assessment, GRC will prioritize applicants who:
hold an Australian or New Zealand bachelor’s degree with first class honours or qualifications and/or research experience deemed equivalent by the University;

 

なんとなくだが、オーストラリアもしくはニュージーランドの学部をFirst class honoursで卒業、もしくはそれに準じる資格 というところに、自分の修士の経験(オーストラリアの大学を出ていること)と修論の成績(HD)が活きたのでは、と考えた。

逆に、IELTSのスコアは関係がなさそうというのもわかった(最低ラインをクリアしているだけなので)。そうすると、他には研究計画書を事前に指導教官候補の先生とやり取りして、後押ししてもらったことも大きいような気がしている。

 

奨学金受給後に発生する条件については、今度別の記事で書いてみたいと思う。

 

後日作成の記事はこちら

 

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